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2010年09月23日

人類は生きるために生き物を食べる。

Butcher Lesson: Beef
Butcher Lesson: Beef / bjornmeansbear


人類は生きるために生き物を食べる。
introducing 「いのちの食べ方」「ブタがいた教室」「ソイレント・グリーン」

ごく僅かな例外を除いて、自然界では生き物が生き物を殺し、生き物を食べて生きている。
当然のことながら、人類もそうやって子孫を残してきた。

まったくもって動物が苦手な僕は、食するために動物を殺したことがない。ペットを飼ったことも、化学実験でモルモットに注射したことも、脱獄して警察犬と格闘したこともない。
意識的にしろ、無意識的にしろ、単に生き物を殺したことがあるだけだ。

誰かが生き物を殺して食材を作ってくれたお陰で、今まで僕は生き伸びてきた。

こんばんは、マンハッタン坂本です。


牛や豚は経済動物である。
日本の大規模農場で育てられる乳牛には、管理上一頭ずつ名前が付いている。両親の名前が分っているので、それをつなぎ合わせた長ったらしい名前だ。文字数制限のある競走馬より長く、落語の「寿限無」より短い。

「いのちの食べ方」というドイツのドキュメンタリーでは、大規模な機械化による農場の生産現場がほとんど定位置で淡々と撮影されている。

野菜や果物の収穫風景は、写実主義の絵画のようで美しい。
だが経済動物の生産過程は目を見張るものがある。種牛の採精やベルトコンベヤーに乗った乳牛がミルカーに搾乳されるシーンは笑える。電流が流れる金属棒で屠殺機に押し込められ出てきた豚を吊るす作業、吊るされた豚が自動腹裂き機で開きにされるシーンはギョッとする。
  (注釈1)



新学期が始まった6年2組の教室に、新任の星先生(妻夫木聡)が仔豚を連れてくる。

「このブタを先生はみんなで育てて、最後には食べようと思っています」

即座に賛同した生徒たちは、その日のうちに校庭の片隅にカラフルな小屋をつくり、仔豚にPちゃんと名づける。
給食の残飯を食わせたり、排泄物の掃除をしたり、精力的に世話をする。一緒にサッカーを楽しむこともある。浮いていた転校生の女の子(甘利はるな)も、寒くなると手作りマフラーを巻いてあげる。
校庭で栽培しているトマトをPちゃんが食い散らかして迷惑がられても、子供の服が臭いなどと父兄が苦情を言って来ても、先生はひたすら頭を下げる。

卒業まで149日となり、星先生はホームルームで、Pちゃんを食べるか食べないかの話し合いをさせる。みんな真剣に意見を出すが結論が出ない。一旦、引き継いでくれるクラスを募集し3年1組が名乗り出るが、手に負えそうにない。

3年生に引き継ぐ派と食肉センターに送る派が同数となり、熾烈な意見交換が行われる。次第に教室中が涙でいっぱいになる。
卒業式の3日前、再投票をするが結果は変わらない。誰も命の長さを決められず、星先生の決断に委ねられる。

トラックがやって来る。無理やり荷台の乗せられたPちゃんに、みんなが駆け寄り好物のトマトを差し出す。トラックが走り出す。速度が速くなる。子供たちが涙ながらに力の限り追い続ける。
  (注釈2)



人口が4千万人に膨れ上がった2022年のニューヨーク。
殺人課のソーン刑事(チャールトン・ヘストン)は、ある富豪の殺人現場を訪れ、本物の食べ物や飲み物を見て驚く。環境汚染による食糧不足で、宝石以上に貴重となり、貧乏人には縁がないからだ。
関係者に聞き込みをしつつ、その貴重品をくすね、同居人で捜査に協力する老人ソル(エドワード・G・ロビンソン)への手土産として持って帰る。牛肉とブランデーはことさら喜ばれる。

害者は、海中プランクトンで作った高栄養食品の配給を発表したばかりのソイレント社の幹部。チンピラの強盗に見せかけた暗殺だと見抜いたソーンは本格的に捜査を始めるが、署長から一方的に打ち切られる。おまけに、害者が告白した神父は殺され、暴動鎮圧のどさくさで銃弾まで飛んでくる。
 
一方、ソーンが現場から持ち帰った海洋調査報告書を調べるうちに、ソルは新製品の秘密を知る。
失望した彼は、そのまま「ホーム」と呼ばれる公営安楽死施設へ向かう。ベートーベンの「田園」に包まれ、マルチスクリーンに映し出された、かつての大自然を恍惚として眺めながら息を引き取る。
 
駆けつけたソーンは、死体を運ぶゴミ処理車を追ってソイレント社の工場へ潜入する。死体袋がベルトコンベヤーの上を流れていく。その行きつく先から驚くべきものが出て来る。

銃撃戦の末、瀕死の重傷を負ったソーンは署長に向かって叫ぶ。

「ソイレント・グリーンの原料は人肉だ」
  (注釈3)



人類は体に害がなければ、平気で何でも食べられるのだろうか。
僕の場合、豚足は食べても、ばっちり顔が残っている豚の首は食えない。ローストチキンは食べても、スズメの姿焼きは食えない。
偽装工作をしていないと証明するために、今から食べてもらうのはこのハナコで〜す、と本物の牛を見せられたら、食欲をなくすだろう。

生きるためにヒトを喰う食人族を残酷と言い切れるのか。残酷なのは、人を殺してから食するハンニバル・レクターのようなサイコ野郎だ。


いきものがかり「ありがとう」はいい歌だ。詩の内容は生き物を食べることとは関係ない。

だが僕が55年間生きるために犠牲となった無数の生き物のことを考えると、「ありがとう」という言葉しかない。

美味しい酒もまた、生き物たちの犠牲のお陰で出来ている。


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注釈1、「いのちの食べ方」(監督:ニコラス・ゲイハルター)
      ドイツ・オーストリア映画 2005年製作 英題:Our Daily Bread
      パリ国際環境映画祭グランプリ受賞
      ヨーロッパ映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞

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注釈2、「ブタがいた教室」(監督:前田哲)
      日本映画 2008年製作
      原案:黒田恭史「豚のPちゃんと32人の小学生」

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注釈3、「ソイレント・グリーン」(監督:リチャード・フライシャー) 
      アメリカ映画 1973年製作 原題:Soylent Green 
      アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞

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posted by マンハッタン坂本 at 00:04 | Comment(1) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご紹介ありがとうございます!
Posted by O at 2010年09月23日 16:36
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