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2010年11月21日

「ラプソディー・イン・ブルー」は、のだめのテーマ曲ではない。


                  ズービン・メータ指揮ニューヨーク・フィルハーモニック「ラプソディー・イン・ブルー」

「ラプソディー・イン・ブルー」は、のだめのテーマ曲ではない。
 introducing 「マンハッタン」「恋人たちの予感」

TVシリーズ「のだめカンタービレ」のファンならお馴染みだが、正確にはエンディングのテーマ曲である。
ドラマの中では、音大の学園祭のステージで、マングースの着ぐるみに身を包んだのだめがピアニカでイントロを弾き、黒の和服に身を固めたSオケが派手なパフォーマンスで盛り上げた。

僕が初めて「ラプソディー・イン・ブルー」を知ったのは、ブラジル出身のミュージシャンであるデオダートが1973年に収録したアルバムを聴いたときである。
サウンド的には、1924年にジョージ・ガーシュウィンが作曲し自らピアノのパートを初演したシンフォニック・ジャズというより、今で言うところのフュージョンに近い。

こんばんは、マンハッタン坂本です。

デオダート「ラプソディー・イン・ブルー」



「マンハッタン」の「ラプソディー・イン・ブルー」は、ズービン・メータ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによるオリジナルの演奏スタイルで、映画の冒頭で流れる。
その間、1978年のマンハッタンの光景がモノクロ映像で点描され、小説の書き出しを試行錯誤するアイザック(ウディ・アレン)のモノローグが入る。そして曲のクライマックスで、林立する摩天楼に花火がきらめく。


42歳のアイザックは、はずみでTVのバラエティ番組の台本書きを降りる。後悔したものの失業は免れない。レズに走って別れた妻のジル(メリル・ストリープ)は離婚の真相を書いている。
始めのうちジャーナリストのメリー(ダイアン・キートン)を嫌っていたが、彼女が親友との不倫関係を解消した途端につき合い出す。
  
その後ろめたさからアイザックは、17歳の恋人トレイシー(マリエル・ヘミングウェイ)と別れる決心をする。拒む彼女を冷たく突き放す。だがエセ・インテリのメリーと長続きするわけがない。
結局、ジルの暴露本が発売され、メリーは親友とよりを戻す。

トレイシーと別れたことを後悔するアイザック。ソファに横たわり録音用のマイクを握る。いちいち溜息をつきながら、自分にとって何が生き甲斐かを吹き込む。

「グルーチョ・マルクス、ジュピター交響曲の第2楽章、ルイ・アームストロングの『ポテトヘッド・ブルース』、スウェーデン映画、マーロン・ブランド、セザンヌの『林檎と洋梨』、サム・ウォーの蟹料理、トレイシーの顔」

彼女が誕生日にくれたハーモニカを手にするアイザック。上着を取ってアパートから飛び出す。タクシーが捕まらない。マンハッタンの街中を走る。だんだん早くなる。息せき切って走る。
そしてトレイシーのアパートにたどり着く。艶のある長い髪に櫛を入れる彼女は、今まさに旅立とうとしている。

ロンドンへ行くと言う彼女をアイザックは必死で止める。半年経ったら君は別人になると説得する。
だが18歳になったトレイシーの決意は変わらない。

「人間って、案外健全よ。少しは人を信じなきゃ。」

アイザックがふっと苦笑いを浮かべる。
「ラプソディー・イン・ブルー」が盛り上がる。
   (注釈1)



ウディ・アレンの盟友で監督のロブ・ライナーと脚本のノーラ・エフロンが製作した「恋人たちの予感」は、「マンハッタン」に対するオマージュと言って過言ではない。

印象的なのは、ソファに座った6組の老夫婦がなれそめを語るシーンで、そのシーンがTV放映のCMのようなタイミングで挿入される。


1977年、シカゴ大学を卒業した自称ネクラのハリー(ビリー・クリスタル)は、自称ネアカのサリー(メグ・ライアン)の車に便乗してニューヨークへ向かう。そして18時間のドライブの途中で、男の本音を吐露する。

「セックスが邪魔して、男と女は友達になれない」

5年後、空港で再会した二人は友達未満。さらに5年後、書店で再会しても恋人未満。
ハリーはヘレンと離婚寸前、サリーは長く付き合ったジョーと別れたばかり。そんな二人はお互いの日常や恋人とのセックスをあけすけに語り合う仲となる。だが共に恋人とは長続きせず、シングルのまま一緒に新年を迎える。

お互いの親友を紹介し合うが、親友同士が恋仲となり、二人は置き去りにされる。
ジョーの結婚にショックを受けたサリーをハリーが慰めようとし、勢いで一夜を過ごす。
ついにセックスレスの関係が崩れた二人は、親友の結婚式を機にお互いを避けるようになる。

大晦日の夜、マンハッタンをひとり彷徨うハリー。突然走り出す。タクシーが捕まらない。懸命に走る。息せき切ってたどり着いたのは、サリーがいるカウントダウン・パーティの会場。
驚くサリーにハリーが近づく。サンドイッチの注文に一時間半、僕を見るときの眉間のしわが好きだ、と早口でまくし立てる。そしてとどめの一言を言う。

「一日の最後におしゃべりをしたいのは君だ」

新年が明け、会場が「オールド・ラング・サイン(蛍の光)」に包まれる。この歌の歌詞を理解できる?とハリーが尋ねるとサリーが答える――「古き友を忘れた事を思い出せって事よ」

出会ってから12年と3ヶ月後に結婚したハリーとサリーは、なれそめを語るカップルのとりをつとめる。
   (注釈2)



「マンハッタン」は、全編オーケストラの演奏でジョージ・ガーシュウィンの名曲が流れる。
「恋人たちの予感」では、当時ジャズ・ピアニストとして有名だったハリー・コニックJr.がガーシュウィン作を3曲弾き語りする。
 

「のだめカンタービレ 最終楽章・後編」では、真一(玉木宏)の携帯電話に動画が送られてくる。そこには、幼稚園の園児のためにのだめ(上野樹里)がピアノを弾く姿が映っている。
アパルトマンから慌てて飛び出した真一は、ひたすら走る。走って走って、のだめを幼稚園から引っ張り出し練習室に放り込む。そしてモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を強制的に弾かせる。

二人が弾き終わり、のだめが再び音楽と向き合い真一と人生を歩み出したとき、「ラプソディー・イン・ブルー」が流れる。
   (注釈3)


僕にとって、「マンハッタン」は死ぬまで見続ける映画である。
映画の中のウディ・アレンのように、年の離れた恋人に慰められたくて。



酔っ払って書いていると思う? いつもそうだ。



ちなみに、モーツァルト作曲、交響曲第41番「ジュピター」第2楽章は、アンダンテ・カンタービレ ヘ長調 3/4拍子 ソナタ形式である。



萩原麻未さん、ジュネーブ国際音楽コンクール・ピアノ部門での優勝、おめでとうございます。
あなたは、のだめの未来です。









注釈1、「マンハッタン」(監督、脚本:ウディ・アレン)
      アメリカ映画 1979年製作 原題:Manhattan
      英アカデミー賞作品賞、脚本賞受賞

      メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
      メディア:DVD

注釈2、「恋人たちの予感」(監督:ロブ・ライナー)
     アメリカ映画 1989年製作 原題:When Harry Met Sally
     主題歌「It Had To Be You」
     音楽:ハリー・コニック・ジュニア

     メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
     メディア:Blu-ray

注釈3、「のだめカンタービレ 最終楽章・後編」(監督:川村泰祐)
     日本映画 2010年製作

     メーカー:アミューズ・ソフト・エンタテインメント
     メディア:Blu-ray
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posted by マンハッタン坂本 at 14:31 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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