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2011年01月16日

トイレに神様はいるのか?



トイレに神様はいるのか?
introducing 「もう頬づえはつかない」「ファンシイ ダンス」

借り手のつかない旧式のアパートを買い取りリニューアルして、年間1億円以上も稼ぐおばさんがいる。歴とした会社社長で、おばさんと呼ぶのは失礼だが、アパートの掃除やまわりの草取りなどメンテナンスを自らやるので、そう呼びたくなる。
そんなやり手のおばさんが、部屋にバスもトイレもない物件を買い取るだろうか。彼女は既存のアパートをリニューアルするのが信条なので、あり得ないと思う。

自慢するつもりはないが、1974年から1988年まで、僕はバスもトイレもない安アパートで暮らしたことがある。風呂は銭湯に行けばいい。今と違って近くに結構あった。
大学時代の共同トイレは、二部屋の住人で使うので許せる。下宿していると思えばいい。
社会人となって8年間住んだアパートも共同だった。だがお世辞にもトイレと言える代物ではない。ほとんど顔を会わさない5人が利用する共同便所だ。
そんなところに神様がいるのだろうか?

学校の便所と思えばいい。駅の中にある便所と思えばいい。公園にある便所と思えばいい。それらは公衆便所であって、我が家のトイレではない。
アパートに隣接した一軒家が火事になった。近くのハンバーガー屋にいた僕は、アパートに向かって消防車が走り去るのを見て、慌てて飛び出した。アパートの階段を駆け上り、2階の共同便所の前で立ち止まった。すると炎に包まれた屋根が見えた。
そんな吹き抜けの便所に神様がいるのだろうか?

こんばんは、マンハッタン坂本です。


僕のアパートを訪れた女子が不在だった僕にメモを残した。
彼女は開けっ放しの部屋の中を覗いて、まるで「もう頬づえはつかない」のセットみたいだと評した。


早大の文学部に通う大学生のまり子(桃井かおり)は、学生アパートに住んでいる。カーディガンにロングスカートといつも地味な服装だが、髪型をシングルボブにしたべっぴんさんだ。実家のトイレには、キレイな女神様がいたにちがいない。その代わり、近くに死神と疫病神と貧乏神がいる。

アパートの大家である高見沢(伊丹十三)は、家賃を滞納したまり子に女房が経営する美容院のアルバイトを世話する。ところが、浮気が原因で女房に髪ハサミで刺される。
まり子のアパートに住みついた大学4年生の橋本(奥田瑛二)は、しきりにピルを飲んでくれと頼む。まり子は体を許したことを後悔している。
全共闘くずれのルポライター・恒雄(森本レオ)は、半年も姿をくらましている。親からの仕送りを止められたのは、7年間彼に引きずりまわされた揚句、薬学部を辞めたからだ。

「やっと会えたなあと思ったら今度は、何もかも前とは同じってわけにいかないよ、て言われちゃうわけね」

シティ・ホテルのベッドで抱き合ったあと、まり子は一生を共にする男だと思った恒雄の異変に気づく。

妊娠していることを医者から告げられ、まり子は電話口で堕ろす相談をしようとする。だが逆に恒雄から30万工面してくれないかと頼まれ、途方に暮れる。雑誌に書いた記事が原因でヤバい連中に追われているからだ。

実家での就活を終えた橋本が戻ってくる。まり子は、置き手紙でさよならを告げる。
恒雄はついに袋叩きに合う。
死神も疫病神も貧乏神も追い払ったまり子は、心機一転、荷づくりに励む。
  (注釈1)


「ウンコする度に清めの弾指(たんじ)をしたり、法堂(はっとう)で風切って経本や見台(けんだい)を運ぶ古参の姿を見る度に、猥雑な俗世ではついぞ知らなかったきわめつけの美学がある。この法衣(ほうえ)姿のムダのないラインを見よ! シティボーイをも変えてしまう作法や修業メニューを作ったご開山が憎い。おかげで僕は手足の小指まで神経を遣っている時が一番幸せな体になってしまった。ああ、お寺ライフはなんて流行通信してるんだ」

家業の住職になるため、陽平(本木雅弘)は恋人の真朱(鈴木保奈美)に髪を剃り落としてもらい、禅寺・明軽寺に入門する。だが思いがけなく作法に生きる意義を見出す。

旦過(たんが)寮での修業はひたすら坐禅のみ。解放されるのは、食事と回廊掃除と便所に行く時だけ。
正式に入門が許されてから、陽平は鐘つきの公務が与えられる。700年前に定められた掟に従い、つき方、鳴らし方、服装、タイミングの違う様々な鳴らし物に忙殺される。失敗すると、警策で肩を打たれ東司(とうす)(=便所)掃除をさせられる。当然汲み取り式だ。

TVの取材が来る。レポーターの質問に応え、陽平は東司の前で作法を実践してみせる。しかも大の方だ。指をはじいて音を出す弾指をやり、扉を開ける。なかなか開かない。ばつ悪そうに苦笑いし、隣りに移って再び弾指をする。
それを録画で見る真朱。やけになって陽平の写真にホークを刺す。

652回の座禅と108回に及ぶ東司掃除、5000発を超える罰策に耐えた陽平は、あと3日で1年というときになって制中(せいちゅう)(=重要な儀式や法要が3ヶ月続く修業期間)の首座(しゅそ)に決まる。
首座というのは、制中の間、修業僧の第一座にあって皆の手本となる役で、クライマックスに用意された法戦(ほっせん)式では、修業僧相手に禅問答を戦う。25人も相手にし、それが済まないと住職の位がもらえない。

本気になった陽平は、東司掃除の間も禅問答の勉学に励む。
真朱や友人たちが見守る中、法戦式が行われる。見事にやり遂げた直後、しびれた脚で立ち上がった真朱がよろける。とっさに抱きとめた陽平が思わずキスをする。
  (注釈2)



女子がトイレをピカピカにすれば、べっぴんさんになるにちがいない。
植村花菜が歌う「トイレの神様」は女神様だ。アマテラスオオミカミも女神様で、日本の主神でもある。
では、男子がトイレをピカピカにすれば、イケメンくんになれるのか。
植村花菜に対するアンサーソングは「トイレの仏様」にするしかない。
仏教的にはブッダということになるが、ご先祖様と言った方が日本的だ。


心理学者カール・グスタフ・ユングの墓碑銘にはこうある。

「呼び出そうと呼び出すまいと、酒神は在ます。(国籍は問わない)」




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注釈1、「もう頬づえはつかない」(監督:東陽一)
日本映画 1979年製作
原作:見延典子
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注釈2、「ファンシイダンス」(監督、脚本:周防正行)
日本映画 1989年製作
原作:岡野玲子 音楽:周防義和
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posted by マンハッタン坂本 at 00:16 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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