INFORMATION INFORMATION

2011年01月17日

娯楽の王道は、コメディとミュージカルである。


                                                     「雨に唄えば」(歌:ジーン・ケリー)

娯楽の王道は、コメディとミュージカルである。
introducing 「世界中がアイ・ラブ・ユー」「ザッツ・エンタテインメント」「シカゴ」

米アカデミー賞前哨戦と言われるゴールデングローブ賞が今年で68回を迎える。毎度のことながら映画部門では、2種類の作品賞が発表される。ドラマ部門とコメディ/ミュージカル部門である。

今年84回目を迎えるキネマ旬報ベストテンは、最初の2回が洋画だけで、芸術的映画と娯楽的映画に分かれていた。ちなみに、第1回目のベストワンは、「巴里の女性」と「幌馬車」である。不思議なことに芸術的映画の中に、コメディの達人チャールズ・チャップリンやエルンスト・ルビッチの作品が入っている。

何故ハリウッド外国人映画記者協会は、第8回(1951年)からコメディ/ミュージカル部門を新設したのだろうか。過去の受賞作品から僕は明確な判断ができない。同じコメディでも、比較的シリアスなコメディはコメディ・タッチのドラマにジャンル分けされている。
要するに、アメリカ人は大半の映画を娯楽とみなしているのに、気難しい外国人は、明らかにコメディやミュージカルでないと娯楽的映画と決めつけられないのだ。

こんばんは、マンハッタン坂本です。


「スターダスト・メモリー」の中で、ウディ・アレン扮する監督の映画祭で、私小説さながらのプライベート・フィルムを見せつけられた揚句、老夫婦がぼやく――「これでメシが食えるかねえ。わしはメロドラマかミュージカルがいい」


そんなことは百も承知で、ウディ・アレンは一風変わったミュージカル・コメディ映画「世界中がアイ・ラヴ・ユー」を撮った。ジュリア・ロバーツ、ドリュー・バリモア、エドワード・ノートン、ティム・ロス等、人前で歌ったことのない俳優を使った。
ナタリー・ポートマンも失恋の悲しみを5秒間だけ「アイム・スルー・ウィズ・ラヴ」に込めて歌ったが、極め付きはゴールディ・ホーンだった。

ヴェニスで久々に実の娘(ナターシャ・リオン)と再会したジョー(ウディ・アレン)は、たまたま見かけた人妻のヴォン(ジュリア・ロバーツ)にアタックしろと娘からけしかけられる。知り合いの分析医の患者で、彼女の話を盗み聞きしたので、マーラーの交響曲第4番が好きだとか、心の秘密をすべて承知しているからだという。
娘の計画通り、理想の男に成りすましたジョーは、彼女をまたたく間に虜にするが、結局ふられる。

クリスマスの夜、マルクス兄弟の仮装パーティのあと、ステフィ(ゴールディ・ホーン)は、ジョーをセーヌ河畔に誘う。そして傷心の前夫を歌って慰める。

ジョーのリードでステフィが宙に舞いながらのダンスは、トリッキーでロマンチックだった。
(注釈1)
「アイム・スルー・ウィズ・ラヴ」(歌:ゴールディ・ホーン)



20世紀のミュージカル映画は、MGM黄金期のアンソロジーと言うべき「ザッツ・エンタテインメント」(MGM創立50周年記念作品)を見れば、十分堪能できる。

MGMのテーマ曲「雨に唄えば」の様々なバージョンから始まり、アカデミー賞作品賞を受賞した最高傑作「巴里のアメリカ人」や「恋の手ほどき」「ブロードウェイ・メロディ」「巨星ジーグフェルド」はもちろん、「バンド・ワゴン」「水着の女王」「ショウ・ボート」「上流社会」「踊る大紐育」「錨を上げて」「オズの魔法使」「掠奪された七人の花嫁」などの名場面。
MGMのモットーである「大きく、正しく、上品に」を体現したフレッド・アステア、アクロバットなダンスに抜きん出たジーン・ケリー、ジュディ・ガーランド、彼女と共演の多かったミッキー・ルーニーなど、人気スターの歌とダンスの数々。

僕のお気に入りは、「恋愛準決勝戦」で壁や天井を自在に動き回るフレッド・アステアのトリッキーなダンスと、何と言ってもジーン・ケリーの「雨に唄えば」だ。
 (注釈2)



21世紀のミュージカル映画は、「シカゴ」が最高傑作だ。
天才振付師、ボブ・フォッシーのブロードウェイの舞台を絢爛たる映像とテンポの速いストーリー展開で見事に映画化した。

浮気相手を銃殺した、ミュージカルスターを夢見る犯罪者ロキシー(レニー・ゼルウィガー)を敏腕弁護士ジョー・フリン(リチャード・ギア)がスターに祭り上げて無罪を勝ち取り、新しい事件が起こった途端にポイ捨てにする。そんな話をドラマの部分とミュージカルの部分をカットバックさせながら魅了させてくれた。

ロキシーが有罪になるかどうかの瀬戸際の裁判の直前、フリンはこう言って彼女を元気づける。

「僕はプロだ。君は心配しなくていい。サーカスみたいなもんだ。この世はすべてショービジネスさ」

妹を殺した元ミュージカルスターのヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、刑務所の中で、世間の注目を集めようとロキシーと張り合っていた。だがお互いにポイ捨ての身となり、人殺しコンビで組めば稼げるわよ、とロキシーに持ちかける。

「あんたが嫌い」
「この仕事に関係あるの?」


果たして二人は、フリンを尻目に、機関銃を持って歌って踊る舞台を大成功させる。
(注釈3)



僕が二十代のとき、正直言ってミュージカルが苦手だった。ストーリーの途中で、いきなり能天気に歌い出すからだ。
今思うに、それは単なる食わず嫌いで、人生を楽しむことに貪欲でなかったような気がする。



焼酎は苦手だと言う人がいる。そんな人には、いろんな美味しい酒を飲むことは人生を楽しむことと同じだ、と言ってやりたい。



僕の大好きなナタリー・ポートマンが新作「ブラック・スワン」でドラマ部門、主演女優賞を獲得した。単なるバレエ・ダンサーのサクセス・ストーリーならコメディ/ミュージカル部門にジャンル分けされるが、サスペンス色が強く、彼女の演技力だけが光った作品らしい。
何はともあれ、「クローサー」に続いての受賞、ファンとして素直に喜びたい。


「ブラック・スワン」(監督:ダーレン・アロノフスキー)
 アメリカ映画 2010年製作 原題:Black Swan
 配給:20世紀フォックス映画







注釈1、
「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(監督、脚本:ウディ・アレン)

   アメリカ映画 1996年製作
   原題:Everyone Says I Love You

   メーカー:パイオニアLDC
   メディア:DVD











注釈2、
「ザッツ・エンタテインメント」
 (監督、脚本:ジャック・ハリー・Jr)

   アメリカ映画 1974年製作
   原題:That’s Entertainment

   メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
   メディア:DVD





注釈3、
「シカゴ」(監督:ロブ・マーシャル)

   アメリカ映画 2002年製作
   原題:Chicago

   米アカデミー賞
     作品賞、美術賞、衣装デザイン賞、音響賞、編集賞、   
     助演女優賞(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)受賞
   ゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)
     作品賞、主演男優賞、主演女優賞受賞
   英アカデミー賞助演女優賞受賞

   メーカー:ハピネット
   メディア:Blu-ray

マンハッタン坂本のシネマワンダーランドが気にいった!
そんな方は、一票お願いします→ 人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ
posted by マンハッタン坂本 at 16:17 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:



×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。