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2011年02月18日

「ぼくの好きな先生」は、美術の教師だった。



「ぼくの好きな先生」は、美術の教師だった。
 introducing 「いつも心に太陽を」「ザ・中学教師」「告白」

あとにも先にも、僕の好きな先生は高校時代の世界史の教師だけである。
彼は「四面楚歌」や「呉越同舟」など四字熟語の由来を面白おかしく話してくれた。

傑作なのは別嬪(べっぴん)の話だ。
のちに唐の玄宗皇帝の寵愛を受ける楊貴妃を宮廷に送り込むため、楊一族は策を弄する。まず彼女を絶世の美女に仕立て上げ女官にする。ところが嬪(ぴん)という位が定員オーバーになるため、権力欲の強い宦官(かんがん)に頼んで新たに別嬪をつくらせた。
それが別嬪の由来だという。ホラ話もいいところだ!

お陰で僕は世界史が大好きになり、大学入試の際、世界史を選択できる理系の単科大学を捜した。
1974年当時、国立大学は1期校と2期校に分かれており、1期校の最高峰は東京工業大学である。僕は、調布市にある2期校・電気通信大学の受験科目に社会があることを発見した。
のちに同級生から聞いた話だと、大半が政治経済を選択したという。国語が苦手な僕は、日本史でなく躊躇なく世界史を選び、その科目に賭けた。

こんばんは、マンハッタン坂本です。

古今東西、理想的な教師を描いた映画に事欠かない。しかも、あらゆる名優が一度はそんな教師を演じている。


「いつも心に太陽を」のシドニー・ポワチエも理想的なサッカレー先生を演じた。元ギアナ国連大使の実話である。

彼は、ロンドンの貧民街にある高校に新米教師としてやって来る。生徒たちの言葉は乱暴で、再三の嫌がらせや口応えに逆上しそうになる。
だが彼らを大人として扱うようになり、空気が一変する。尊敬を込めて相手の名前を呼び合うようにさせ、授業をあらゆるテーマを話し合う場にし、校外学習で博物館へ連れて行く。

生徒の一人が傷害未遂事件を起こし、生徒たちとの間に亀裂が生じても、彼らの意思を尊重することで乗り越える。
かくして卒業ダンス・パーティの日、生徒の一人(ルル)が歌のプレゼントをする――「先生へ、愛を込めて」

転職するつもりだったサッカレーは、来年度も教師を続ける決心をする。
  (注釈1)
「いつも心に太陽を」To Sir, With Love(歌:ルル)



「ザ・中学教師」の長塚京三は、生徒に好かれたかどうか分からないが、常に毅然とした三上先生を演じた。

彼はホームルームで、学校を演劇の舞台に例えてこう言い放つ。

「お前たちは制服という衣装を着て、生徒という役を演じ、俺はこのスーツとネクタイという制服を着て、教師という役を演じる」

彼には別の公立中学校に通う娘がおり、彼女はひどいイジメを受けた腹いせに、私服で登校したり、学校の鳥小屋に火をつけたりする。その度に担任教師(樹希樹林)から呼び出されるが、実の娘の前でも甘い言葉をかけない。

言いたいことは何でも言った方がいいわよ、と放任主義の若い女教師(藤田朋子)のまわりで、事件が立て続けに起こる。
心を許した生徒がシンナーを吸った勢いで彼女の自宅に押しかけ、抵抗した反動でそのままプールで溺死する。彼女を殴った生徒に腹を立てた教師(谷啓)がその生徒からナイフで刺される。

そんなときでも三上は、毅然と対処する。
教師は一貫性を失ってはいけない、弱気になってはいけない。生徒にはむしろ威圧的な方がいいと考えているからだ。

事件に対する動揺が冷めやらぬころ、クラス対抗駅伝大会を提案する。選手の選出から役割分担など運営を生徒主導で行わせ、クラスの結束を図る狙いだ。
教師たちの挑発でその気になった生徒たちは、見事に大会を成功させる。駅伝が行われている間だけ学校が一体感に包まれる。

図らずも自分の担任クラスが優勝するが、三上は「見直した、褒めてやる」と言って手をたたくだけだった。
  (注釈2)



私の一人娘は、このクラスの生徒、少年Aと少年Bによって殺された。
3学期の終業式で、某中学校1年B組の担任教師でシングル・マザーの森口悠子(松たか子)はそう「告白」する。そして彼らに復讐を宣言する。

小心者の少年Bは不登校となり、2年の担任となったKYな熱血教師の執拗な家庭訪問に耐えられず、過保護な母親を刺殺する。すべては教師を辞めた森口の策略だ。

優等生の少年Aは、彼に好意を寄せる学級委員長の少女と共に、クラスメートにいじめられる。だが起死回生の脅しで難を逃れる。

「意外と優しいんですね、あなた方は」

自殺に追い込めると踏んだ森口の当てが外れ、彼女は少女に向かってそう言う。
その代わり、少女から少年Aの弱点を告白され、新たな復讐を仕掛ける。


一人娘を亡くした悲しみを、恐怖という復讐で晴らそうとする森口は、異常な教師だろうか。
最近、モンスター・ペアレンツに対して慰謝料を請求し提訴した教師がいる。
「告発」は、復讐エンターテインメントの傑作だが、泣き寝入りしない教師を代弁しているような気がする。
  (注釈3)
日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、脚本賞受賞、おめでとうございます。
   



先生稼業はつらい! 常に学校のハードな現実と向き合っていなければならない。
授業だけやっていればいいというものではない。

どんな職業にしろ、プロフェッショナルであるということは、向き合っている現実と真剣に取り組むことだ。

プロの教師も何かを達成したとき、一人おいしい酒を飲むに違いない。



蛇足ながら、「ザ・中学教師」の平山秀幸監督は、僕の高校の4年先輩である。
先輩は映画「おっばいバレー」の舞台となった戸畑区の出身で、僕は中学2年生のとき福岡から戸畑区の中学校に来た「転校生」である。
いつの時代にも、どんな高校にも名物教師はいる。1970年、僕が高1のとき授業を受けた古文の教師がそれである。1957年、先生は夏の甲子園に初出場したときの野球部の顧問だった。
授業の半分は、そのときの話である。とりわけその年に優勝した広島商業に準決勝で逆転負けした話を何度も聞かされた。おそらく平山先輩も聞かされたに違いない。
僕の好きな世界史は選択科目だったので、先輩は受けてないかもしれない。

僕の人生には、優秀な後輩がゴマンといるが、尊敬できる先輩がほとんどいない。
だが出世作となった中学教師の映画とそれを監督した平山先輩を誇りに思っている。

先輩の新作「太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−」が公開になった。




注釈1、「いつも心に太陽を」(監督:ジェームズ・クラベル)
      イギリス映画 1967年製作 原題:To Sir,with Love
      原作、E・R・ブレースワイト
      主題歌「いつも心に太陽を」(アーティスト:ルル)

      メーカー:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
      メディア:VHS

注釈2、「ザ・中学教師」(監督:平山秀幸)
      日本映画 1992年製作
      原作、プロ教師の会
      日本映画監督協会新人賞受賞。

      メーカー:パイオニアLDC
      メディア:DVD

注釈3、「告白」(監督、脚本:中島哲也)
      日本映画 2010年製作 英題:CONFESSION
      原作:湊かなえ
      日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞受賞

      メーカー:東宝
      メディア:DVD


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posted by マンハッタン坂本 at 23:30 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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