INFORMATION INFORMATION

2011年03月12日

お洒落なツギハギなら、ジーンズに限る。

D&G.jpg
                          DOLCE&GABBANA   USED DENIM PANTS PATCHWORK

お洒落なツギハギなら、ジーンズに限る。
introducing 「トラフィック」「ショート・カッツ」

人間のツギハギは、フランケンシュタインみたいで醜い。
ロボットのツギハギは、チューバッカに背負われたC−3POみたいで情けない。
お洒落にツギハギするなら、デニムを身につけるしかない。とりわけツギハギのジーンズは、僕のトレードマークだった。

1973年、川久保玲がコム・デ・ギャルソンを設立した年。福岡ではツギハギのジーパンが流行っている。
そう思い込んだ僕は、翌年大学生となり、憧れの一本を調布で手に入れた。
四角いデニムのハギれをベルボトム状にツギ合わせたやつだ。ウエスタン・シャツにジージャンを羽織り、合ハイ、合コンに履いて行った。

実際、まるで流行とは無縁だった。僕は虎の子の一本を飽きずに履き続けた。
手を加えなくても自然とダメージ感が出てくる。リフォームの職人に修復不可能の烙印を押されるまで、10年間ねばった。

こんばんは、マンハッタン坂本です。




ジーンズの故郷はアメリカである。当然ヴィンテージものはアメリカが最高だ。
同時に、ツギハギ映画の傑作も他国の追従を許さない。
「トラフィック」もそんな傑作の一つである。

「お前らは敗戦を知らずに孤島にいた日本兵だ。政府はとっくに麻薬戦争に負けた」

カリフォルニアの麻薬取締捜査官ゴードン(ドン・チードル)とカストロに向かって、ルイス(ミゲル・フェラー)はそううそぶく。
だがメキシコからヤクを密輸する大物カール・アヤラの中間ルートの売人だった彼は、逮捕されたアヤラを裁くため検察側の証人となる。

逮捕されて初めて夫の本業を知った妻のヘレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、殺し屋を雇いルイスを消そうとする。息子と生まれてくる子供を守りたい一心からだ。
一度は失敗し、代わりにカストロが犠牲となる。諦めない彼女は麻薬組織の大物オブレゴンと取り引きをし、ルイスの毒殺に成功する。
晴れてアヤラは開放される。だが相棒を失ったゴードンは諦めない。

一方、ティファナで国境警備をするメキシコ州警察の警官ロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)は、安月給で天晴れな働きをする。それを見込んだ犯罪取締官サラサール将軍から依頼され、麻薬組織の殺し屋フロレスをあっさり捕まえてくる。

それを機にオブレゴン・カルテルが壊滅する。
将軍は麻薬対策本部長に就任するが、敵対するマドリガル・カルテルの手先だった。それを知った相棒のサンチェスがロドリゲスの目の前で銃殺される。

ロドリゲスは、すべてをアメリカの麻薬取締局に暴露する。相棒を殺すよう命令したサラサールとマドリガル・カルテルを壊滅させるためだ。

現場で命を張って仕事に励む勇敢な連中の努力をよそに、麻薬取締連邦責任者に任命されたウェークフィールド(マイケル・ダグラス)は、麻薬中毒になった16歳の娘を守るため、職を放棄する。
  (注釈1)



レイモンド・カーヴァーの9本の短編小説と一編の詩をツギ合わせて作られたのが「ショート・カッツ」である。

夜のロサンゼルス上空。メド・フライと呼ばれる害虫駆除薬をまくヘリコプターが轟音を立てて数機飛んでいる。

ハワード・フィネガン(ブルース・デイヴィソン)は、ニュースキャスターとしてそれを伝える番組の録画を妻のアン(アンディ・マクダウェル)と共にベッドで見ている。明日は息子のケイシーの9歳の誕生日である。

翌朝、ハワードが出勤したあと、息子も家を出る。
ジェリー(クリス・ペン)は、誕生会のためのプール清掃をしている。彼の妻は、育児をしながら平気でテレフォン・セックスのアルバイトに励む。妻の演じる声にジェリーはいつもむらむらしている。でもこれは別の話。

走って登校中、ケイシーはウェイトレスのドリーン(リリー・トムリン)が運転する車に軽くはねられ転倒する。だがすぐに起き上がり、送っていくという彼女の申し出を断わる。
ドリーンの夫は、リムジンの運転手でアル中である。また酒を始めたので気が気でない。でもこれも別の話。

バースデー・ケーキを注文しアンが家に戻ると、息子がうずくまっている。慌てて病院に担ぎ込む。ケイシーはそのまま昏睡状態に陥る。
担当医のラルフ・ワイマン(マシュー・モディーン)は、目を覚ますのを待つだけだと言う。彼の妻はプロの画家である。彼は嫉妬深く、コンサートで知り合った夫婦を招くことを快く思っていない。でもこれも別の話。

ハワードが病院に駆けつける。一旦家に戻ると電話が鳴り、予約の確認だと相手が言う。息子のことで頭が一杯の彼は、予約をキャンセルする。執拗に電話がかかってくるので、切れまくる。
病院に戻ると、母親と別れた父親のポール(ジャック・レモン)が孫の見舞いに来ている。30年ぶりの再会である。母親の妹オーラから聞いたと言う。
病院の休憩室で、父親は何故離婚する羽目になったかの弁解を始める。ハワードにとって迷惑な話だ。

アンが代わりに家に戻ると、訳の分からない嫌がらせの電話がかかってくる。
ケイシーの病状が急変し、そのまま息を引きとる。
悲しみのどん底の中、アンは電話の主がケーキ屋のビックカワー(ライル・ラヴェット)であることに気づく。

フィネガン夫婦がケーキ屋に乗り込む。息子が死んだのに何てひどいことをするのだ、とビックカワーを責める。
事情を知った彼は、冷静になったアンにパンを差し出す。

「こういう時は何か食べた方がいい。焼きたてです」

同じ頃、友人夫婦と家族総出でハイキングに来ていたジェリーは、カッとして若い女を石で殴る。ビールの泡で濡れた服を脱ぎ始めたからだ。
一晩夫を締め出したドリーンは、ファミレスに迎えに来た夫と仲直りをし、昼間からカクテルを飲む。
妻と怪しい関係の画家とのいきさつを白状させたラルフは、招待した夫婦と一緒に仮装パーティーを楽しんでいる。

そこへ、マグニチュード7.4の地震が襲う。
  (注釈2)



日本と同様、アメリカ西海岸は地震が多い。映画の中の地震は、死者約1名。
ビルの地上8階で、マグニチュード6.0の福岡県西方沖地震を僕は体験した。

今回の「東北地方太平洋沖地震」マグニチュード9.0を記録したという。
停電、火災、津波などの被害に合われた方には、深くお見舞い申し上げたい。

東北地震3.jpg



一枚一枚はただのハギれに過ぎない。それがツギ合わされると立派な服になる。
しかも見る人、見る角度によって違った印象を与える。ツギハギのジーンズのいいところはそこだ。

ツギハギ映画も同様である。


僕が映画館で本格的に映画を観るようになって40年以上が経つ。
この個人ブログは、その40年間の集大成だ。
10年経つと、人間の細胞はそのほとんどが入れ替わるという。
僕にとって映画は、細胞に例えられるほど小さくない。かと言ってハギレほど大きくもない。
これまで100本以上の名作映画を紹介してきた。一本一本がいわば、僕の人生における小さなハギレだ。僕という映画は、いくつのハギレから成り立っているのだろう。
一本一本、手を抜かずに観直していく作業は、死んで排泄された細胞の如く、役に立たなくなったハギレを確認していく作業でもある。

再びツギハギのジーンズを手に入れる決心をした。
果たしてあと何本映画を観たら、完成品を手に入れられるのだろう。





注釈1、「トラフィック」(監督:スティーブン・ソダーバーグ)
   アメリカ映画 2000年製作 原題:Traffic
   米アカデミー賞監督賞、助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ)、
   脚色賞、編集賞受賞
   ゴールデングローブ賞助演男優賞、脚本賞受賞
   英アカデミー賞助演男優賞、脚色賞受賞

   メーカー:東宝ビデオ
   メディア:DVD

注釈2、「ショート・カッツ」(監督:ロバート・アルトマン)
      アメリカ映画 1993年製作 原題:Short Cuts
      原作:レイモンド・カーヴァー
      ヴェネチア国際映画祭グランプリ、特別賞受賞
      ゴールデングローブ賞特別賞受賞
      インディペンデント・スピリット賞作品賞、監督賞、脚本賞受賞

      メーカー:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
      メディア:DVD

マンハッタン坂本のシネマワンダーランドが気にいった!
そんな方は、一票お願いします→ 人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ
posted by マンハッタン坂本 at 00:30 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:



×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。