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2014年06月16日

ずっとあなたを知らなかった。


                   「涙のキッス」 (TVドラマ「ずっとあなたが好きだった」の主題歌)

普通の恋愛ってできないの? PARTU

ずっとあなたを知らなかった。
introducing 「運命じゃない人」「眺めのいい部屋」「シュリ」

この一文には、色んな尾ひれをつけられる。
ほんの少し言葉を加えただけで、様々なストーリーが生まれる。

子供の頃から、ずっとあなたの存在を知らなかった。
結婚するまで、ずっとあなたの正体を知らなかった。
離婚するまで、ずっとあなたの想いを知らなかった。
結婚にまつわる男女の関係だけでも、いくらでもストーリーができる。

僕がいまだに強烈に印象に残っているのは、TVドラマの「ずっとあなたが好きだった」である。

結婚するまで誠実だった冬彦さん(佐野史郎)が、マザコンでセックスレスで蝶のコレクターでサディストだとは夢にも思わなかった美和(加来千香子)は、途方に暮れる。
彼の正体を知った彼女は、逃げて逃げて逃げまくる。
冬彦はついに離婚を決意し、母親(野際陽子)を刺す。
留置所の中で、彼が隠していた切ない想いを美和に告白する。彼女は初恋の人だった。彼女が冬彦を意識していない少女時代から、冬彦はずっと美和のことが好きだったのだ。
  (注釈1)

ハイホー、マンハッタン坂本です。

「30過ぎたら、運命の出会いとか、友だちから始まって徐々に魅かれ合ってラブラブとか、一切ないからな」


ファミレスに呼び出された宮田武(中村靖日)は、親友で私立探偵の神田勇介からそう言われる。
そのあと神田は、背後の席で一人寂しそうに座る桑田真紀(霧島れいか)に声をかけ、一緒に食事しないかと誘う。

宮田は、貯金すべてを頭金にしてローンを組み、豪華マンションを手に入れた。すべては恋人である倉田あゆみ(板谷由夏)のためだ。だが彼女は、一週間一緒に暮らしたあと、好きな人がいるからとか言って出て行く。
宮田がふられたとばかり思い込んでいた彼女は、凄腕の結婚詐欺師だったのだ。現金が入らないとなると、彼の利用価値はなくなる。

その日の夜、なんかゴメンねと言いながらあゆみが半年ぶりにマンションに訪ねて来る。残してあった自分の荷物を取りに来たという。実はその中に、カモにするつもりで付き合っていたやくざの組長の事務所からかすめ取った札束が隠してある。

彼女の正体を知らないまま、「運命じゃない人」だと諦めた宮田は、その日初めて知り合った真紀からケータイの番号を聞き出す。
  (注釈2)



「息が詰まるの。美術と書物と音楽だけの世界なんて」


ルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム=カーター)からそう言われて婚約を解消されたセシル・ヴァイズ(ダニエル・デイ=ルイス)は、その言葉に素直に納得する。だが人間的な落ち度があるようには見えない。

彼は確かに、ロンドンに住む鼻持ちならない中産階級の紳士かもしれない。ただ、たまたま美術館で知り合った風変わりなエマソン父子に、郊外の貸し別荘を紹介しただけである。その別荘のお向かいがハニーチャーチ家の住まいで、ルーシーも従姉のシャーロット(マギー・スミス)もエマソン父子と顔見知りだっただけである。

さらに、ルーシーがジョージ・エマソン(ジュリアン・サンズ)と芝のコートでテニスをしているときに、知り合いの女流作家エレノア・ラヴィッシュ(ジュディ・デンチ)が書いた恋愛小説「バルコニーの下で」を傍らで朗読しただけである。
その小説は、フィレンツェのペンションに泊まった際、親切なエマソン父子がルーシーとシャーロットに「眺めのいい部屋」を譲った縁で、一緒にピクニックに出かけた田舎が舞台である。しかも草原でいきなりジョージがルーシーにキスしたときとそっくりの描写がある。そのことを知っているのはシャーロットだけのはずだが、彼女はエレノアと仲がいいのだ。

果たしてルーシーは、ジョージと共に再び「眺めのいい部屋」に泊まる。自分を含めて周りのすべての人に嘘をつき続けている、とジョージの父親から指摘され、目が覚めたからだ。
  (注釈3)



「一匹が死ぬと、片方も後を追うの。だから気をつけてね」

そう言ってイ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)は、婚約者のユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)にキッシンググラミーという名の熱帯魚をプレゼントする。
小さな熱帯魚店を営む彼女は、彼が秘密情報部員であることを知らない。同僚のイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)とも仲がいい。彼は別れた恋人を捜していると言って、イ・バンヒの写真を見せる。実は北朝鮮の凄腕の女スナイパーである。

パク・ムヨン(チェ・ミンスク)が率いる第8特殊工作部隊によって、「シュリ」作戦が開始される。探知不可能な無色無臭の液体爆弾CTXを強奪し、南北親善サッカーが行われるスタジアムに仕掛けるのだ。

ジュンウォンがイ・バンヒに狙撃される。プライベートで友人と会っているときだったので、ミョンヒョンを巻き込む恐れを感じた彼は、彼女をホテルにかくまう。彼女の様子がおかしい。一年間の禁酒を破ったのだ。別れ際に、しっかりと抱き締め合う。

イ・バンヒ筋から情報が入り、第8部隊を罠にかけ、情報局のスタッフが待ち伏せする。銃撃戦の最中、イ・バンヒがパク隊長を助けに来る。二人とも深手を負う。
ジュンウォンは、イ・バンヒを尾行するうちに見慣れた街角に出る。
彼女の正体は、愛するイ・ミョンヒョンだったのだ。

内禎していたジャンギルがミョンヒョンの店に会いに来る。情報センターのいたるところに置かれた水槽で泳ぐ金魚の中から、水中送信用盗聴器を発見したからだ。
だがパク隊長に撃たれ命を落とす。イ・バンヒは逃走する。

南北親善サッカーの当日、工作隊が中央変電室を占拠する。CTXを過熱して爆発させるため、南北首脳が観戦する貴賓席を向いた照明を点灯させる。ジュンウォン率いる防衛隊が突入し、銃撃戦の末、寸でのところで電源を落とす。
客席にいたイ・バンヒがAUGミリタリー狙撃銃を取り出し貴賓席に弾丸を撃ち込む。
執拗に大統領を追って来た彼女がジュンウォンと対峙する。
涙ながらに銃口を大統領専用車へ向けたとき、ジュンウォンのベレッタM9が火を噴く。

ミョンヒョンの切ない声が留守電に入っている――「一緒に過ごした一年が、人生の全てだった」
  (注釈4)



「求められないことは、存在しないことと同じだ」

もっと分かり易く言葉をつけ加えるならば、「(僕があなたから)求められないことは、(僕があなたにとって)存在しないことと同じだ」という意味である。
これは長い間、僕が抱いてきた人生感の一つである。恋愛感の一つだと言ってもいい。



ここで、かなりこじつけだけれど、僕が56歳になったときに紹介しようと思っていた文章を記したい。
例によって、尊敬するアメリカの作家カート・ヴォネガットの小説「ジェイルバード」から引用する。
キルゴア・トラウトという名前は、鱒(TROUT)の新しい品種ではない。リチャード・ブローティガンの小説「アメリカの鱒釣り」にも出てこない。
カート・ヴォネガットの小説に頻繁に登場する売れないSF作家である。
ちなみに、村上春樹の「風の歌を聴け」に出てくる架空のSF作家デレク・ハートフィールドは、キルゴア・トラウトのパクりである。
僕は、僕自身がキルゴア・トラウトだと思っている。


「ずっとカート・ヴォネガットを知らなかった」人たちのために。

そう、キルゴア・トラウトは復活した。彼はシャバではうだつが上がらなかった。それは恥ずべきことではない。大ぜいのりっぱな人たちが、シャバではうだつが上がらずにいるのだから。
  (中略)
ジョン・フィグラーは、善良な高校生である。フィグラー少年の手紙によると、彼はわたしの書いたものをほとんど読みつくしたので、いまやわたしの半生の著作の核心にあるただ一つの思想を指摘できるまでになったという。彼の言葉をかりれば、それはこうだ――「愛は敗れても、親切は勝つ」
言いえて妙だとわたしは思う――しかも過不足がない。
というわけで、56歳の誕生日を5日も過ぎたいま、わたしは忸怩(じくじ)たる心境におちいった。なにもあんなにたくさんの本を書く必要はなかった。たった十一文字の電文で、ことは足りたのだ。

ちなみに、僕の名刺の裏にも印刷されている。
Love May Fail, But Courtesy Will Prevail
「愛は敗れても、親切は勝つ」



      メーカー:早川書房
      メディア:文庫本

蛇足ながら「ずっと原発が安全じゃないことを知らなかった?」 (日本国政府)




注釈1、「ずっとあなたが好きだった」
      TBS金曜ドラマ 1992年7月〜9月放映
      脚本:君塚良一
      主題歌:サザンオールスターズ「涙のキッス」

      メーカー:アミューズ・ソフト・エンタテインメント
      メディア:DVD



注釈2、「運命じゃない人」(監督:内田けんじ)
      日本映画 2005年製作 英題:A Stranger of Mine
      カンヌ国際映画祭 批評家週間 フランス作家協会賞(脚本賞)、最優秀ヤング批評家賞
      最優秀ドイツ批評家賞、鉄道員賞(金のレール賞)受賞

      メーカー:エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
      メディア:DVD

注釈3、「眺めのいい部屋」(監督:ジェームズ・アイヴォリー)
      イギリス映画 1986年製作 原題:A Room with a View
      英アカデミー賞作品賞、主演女優賞(マギー・スミス)
      助演女優賞(ジュディ・デンチ)、美術賞受賞
      米アカデミー賞脚色賞、衣装デザイン賞、美術賞受賞
      ゴールデングローブ賞助演女優賞(マギー・スミス)受賞

      メーカー:エスピーオー
      メディア:DVD

注釈4、「シュリ」(監督:カン・ジェギェ)
      韓国映画 1999年製作 英題:Shiri

      メーカー:カルチュア・パブリッシャーズ
      メディア:DVD

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posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(1) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おひさです。

「運命じゃない人」、面白かったなぁ。

まだこの監督さんの2作目(タイトル忘れた)は観てないんですけど、
思い出したんで借りてこ。

ありがとうですぅ。
Posted by domino at 2011年04月11日 10:15
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