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2013年08月12日

閉所恐怖なんて、へっちゃら!

P1040234
P1040234 / Lars Plougmann


戦争(第二次世界大戦)名画特集 PARTU

閉所恐怖なんて、へっちゃら!
introducing 「Uボート」「眼下の敵」「肉弾」

映画とTVの違いを一言で言えますか?
もっと分かり易く言えば、照明を落とした暗い映画館の中で見る映画の映写画面と、照明を落とさなくても明るい場所で見られるTVの受像画面との違いは何ですか?

僕ならこう答える――「実物より大きく見えるのが映画で、小さく見えるのがTVである」

この答はもちろん完璧ではない。同じ映画を我が家のTV画面で見るより、映画館のスクリーンで見る方が圧倒的に実物より大きい。その確率が高いだけだ。

僕は閉所恐怖症である。なので、できる限り狭い空間に入らないようにする。
高速バスのトイレは異常に狭い。パニックにならないようにドアの開き方を確認して用を足す。
従って、立ち見客で一杯のミニシアターで見る映画ほど、息苦しい映画はない。

ハイホー、マンハッタン坂本です。

ずいぶん昔、佐世保に寄港した原子力潜水艦を見に行ったことがある。後にも先にも、実物の潜水艦を見たのはそのときだけである。原潜は大きいというイメージがあったが、意外に小さいのでびっくりした。
原子炉を持たない第二次世界大戦中のUボートなんかさらに小さいということになる。最大で90メートルくらいだったらしい。


閉所恐怖症の僕は、艦内に入ることを想像しただけでパニックになる。
従って、どんなに客席がスカスカでも、どんなにスクリーンが大きくても、潜水艦映画ほど息苦しい映画はない。


その究極は西ドイツ映画の「Uボート」である。

「私は老人になった気分だ。子供十字軍だからな」

1941年、ドイツ占領下のフランス大西洋岸にあるラ・ロシェル軍港を出航したU96の艦長(ユルゲン・ブロホノフ)は、従軍記者のヴェルナー少尉に向かってそう言う。
それもそのはず、機関長と一等航海士と聴音兵を除けば、生真面目な士官を含め実戦経験の少ない若い乗組員ばかりだ。

キーンという鋭いソナー音が響き渡り、敵の駆逐艦が爆雷を落とす。間近で次々と爆発する。艦内が大きく揺れ、電気は切れ、いたるところで海水が噴出する。ベテランの機関兵までパニックになる。
6時間後、追撃が止まる。浮上すると、発射した魚雷で2隻の輸送船が撃沈寸前だ。

緊急命令で、連合艦隊の半分が待ち受けるジブラルタル海峡を通る事態となる。
艦長は、浮上して夜の中央突破を試みる。戦闘機に襲われ、深手を負う。Uボートが深く深く沈んでいく。かろうじて海底280メートルで停止する。船尾に大量の浸水があり、水圧装置もコンパスも速度計も探深計も無線機も破損する。

乗組員全員で排水する。ベテラン機関長が15時間かけて修理する。その間、酸素マスクをしてじっと耐え忍ぶ。注気しUボートが浮上する。エンジンが動き出す。
一気に突破して、同盟国イタリアの軍港に帰港する。

その直後、夥しい数の爆撃機が奇襲する。乗組員の大半が命を落とす。生き残ったヴェルナー少尉の目の前で、U96が沈んでいく。それを見届けるように艦長も事切れる。
  (注釈1)



南太平洋、アメリカの駆逐艦へインズは、進路140を10ノットで浮上航行するUボートの影をキャッチする。始めのうち、お互いの正体を知られないようにジグザグ航行し偽装するが、ついに邂逅する。
即座にUボートは潜行し船尾魚雷を発射する。だが駆逐艦のマレル艦長(ロバート・ミッチャム)は、わざと目標となる位置で待ち、発射した途端に急旋回して魚雷をかわす。

「この戦争に栄誉はない。勝っても醜悪だ」

駆逐艦の反撃をかわしたあと、Uボートのシュトルベルク艦長(クルト・ユルゲンス)は、ハイニ先任仕官に向かって本音を吐く。

「悲惨と破壊に終わりはない。敵は我々自身の中にあるのだ」

同じように戦争に批判的なマレル艦長も、ドック軍医に向かって本音を吐く。

何か任務があって「眼下の敵」が進路を変えないことを見抜いた艦長は、矢継ぎ早に爆雷を落とさせる。Uボートは仕方なく深く潜行し310メートルの海底で静止する。だが長い間留まることができない。
Uボートが動き出すと共に、駆逐艦が平行航行しながら爆雷攻撃を仕掛ける。
このままだと命中すると判断したUボートの艦長は、爆雷を使い果たさないための断続的な攻撃のスキを狙って、魚雷を乱射する。その一つが駆逐艦に命中する。

致命傷を負ったものの、駆逐艦は大きく炎上したようにカモフラージュする。
Uボートが浮上し、とどめの一発を発射しようとした瞬間、駆逐艦は大きく旋回し高射砲を撃ち込む。
銃撃戦の末、突進した駆逐艦がUボートに乗り上げる。

乗組員の大半をボートで脱出させたマレル艦長は、甲板の上からUボートの艦橋に立つシュトルベルク艦長を確認する。
双方の艦長は、お互いの姿を見据えながら敬礼を交わす。「敵ながら天晴れ」といった敬意がこもっていた。
  (注釈2)



「まるでおへそまで見られちゃったようで、恥ずかしいよ」

海の上でぷかぷかと浮かぶドラム缶に乗ったあいつ(寺田農)は、出撃前に会ったおばさんの言葉を思い出す。傍らに繩でくくりつけた魚雷がある。硫黄島も捕られ、沖縄も捕られ、本土決戦に備えて砂浜で一人訓練をしているときに言われたのだ。

彼は始め工兵幹部候補生だった。あまりの空腹のため食い物を反芻する牛となる。乾パンを盗もうとして隊長(田中邦衛)に見つかり豚扱いされる。それが今や神である。砂浜に掘ったタコツボに隠れ、上陸した戦車目がけて爆弾もろともぶつかる特攻M4、別名「肉弾」である。

21歳と6ヶ月のあいつは、一日だけ休暇を与えられる。枕代わりになり暇つぶしにも役に立つ分厚い聖書を本屋で手に入れ、女郎屋へと向かう。代数の勉強をするセーラー服の女学生(大谷直子)が目に入り、声をかける。問題を解いてあげ仲良くなるが、彼女は女郎屋「第二あけぼの楼」の女将だった。
化け物みたいな女郎から早々と逃げ出すと、雨の中で彼女と鉢合わせする。防空壕の中で二人は抱き会う。

砂浜で訓練をしている最中、B29に爆撃される。工場も女郎屋も吹っ飛ばされる。
作戦が変更になり、海軍のSS艇で出撃することになる。だが特殊潜航艇の基地に行くよう指示される。

「第二あけぼの楼」の番傘を上に差し、狭いドラム缶の中でひたすら漂流する。
あいつがやっと敵艦を発見する。長さ5メートル70、重さ1トン、200キロの爆薬を積んだ九一魚雷を発射させる。42ノットで進むはずが、海中深く沈んでいく。

敵艦はおわい船だった。遠州灘から東京湾まで流されてきたのだと船長から教えられる。揚句に終戦を知らされショックを受ける。
あいつは、水の代わりにバクダン(焼酎)を飲み続ける。
  (注釈3)



周りを海に囲まれ、逃げ場のない状態で、狭い空間であれば、明らかに閉所だ。僕にはとても耐えられない。
落盤事故が起き、たとえシェルターに避難できたとしても、地中深く閉じ込められた状態は、明らかに閉所だ。僕にはとても耐えられない。
津波が来て、瓦礫の下敷きとなり、身動きができない状態も、明らかに閉所だ。僕にはとても耐えられない。

にもかかわらず、どんな状態に陥っても、逞しく生き延びた人たちがいる。
平時であれ戦時中であれ、へっちゃらで乗り切れるなんて信じられない。
僕なんかすぐにくたばる。ボトルが一本あれば、何とかやり過ごせるかもしれない。





注釈1、「Uボート」(監督:ウォルフガング・ペーターゼン)
      西ドイツ映画 1981年製作 原題:Das Boot

      メーカー:ジェネオン・エンタテインメント
      メディア:DVD

注釈2、「眼下の敵」(監督:ディック・パウエル)
      アメリカ・西ドイツ映画 1957年製作 原題:The Enemy Below
      アカデミー賞特殊視覚効果賞受賞

      メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
      メディア:DVD

注釈3、「肉弾」(監督:岡本喜八)
      日本映画 1968年製作 
      毎日映画コンクール監督賞、音楽賞、美術賞、主演男優賞受賞

      メーカー:ジェネオン・エンタテインメント
      メディア:DVD
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posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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