INFORMATION INFORMATION

2011年06月09日

グッバイ!三谷幸喜。

三谷幸喜のありふれた生活9 さらば友よ

グッバイ!三谷幸喜。
introducing 「サンシャイン・ボーイズ」「グッバイガール」「ニール・サイモンのキャッシュマン」

離婚した小林聡美が言ったわけではない。
死の商人を自称しているとは言え、生きている有名人を葬るつもりはない。ネット殺人なんて芸当もできない。
第一、敬意を込めて監督作の「ラヂオの時間」と「THE有頂天ホテル」を紹介したではないか。

初めて彼の名前を知ったのは、中原俊監督の「12人の優しい日本人」である。オープニング・クレジットで、脚本「三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ」と出る。
彼が立ち上げた学生劇団によって上演された芝居の映画化だ。団員の西村雅彦や映画にも出演した梶原善や相島一之らとの共作である。

三谷幸喜はビリー・ワイルダーを尊敬している。「サンセット大通り」や「お熱いのがお好き」や「アパートの鍵貸します」の脚本を書き、監督した超有名な映画人だ。僕も尊敬している。
そして彼はニール・サイモンのファンだ。リチャード・ドレイファスが米アカデミー賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞して日本でも知られるようになった劇作家・脚本家である。
リチャードの受賞作は「グッバイガール」

ハイホー、マンハッタン坂本です。

芝居に関心のある人で、ニール・サイモンの名前を知らない人はいないと思う。ニューヨークのブロードウェイで次々とヒットを飛ばす喜劇作家だ。
だが芝居に縁のない僕は、それまで知らなかった。「サイモン&ガーファンクル」の片割れが劇作家に転身したのかと勘違いしたくらいだ。

僕と同様、三谷幸喜は全6巻の「ニール・サイモン戯曲集」を持っているはずだ。
その中に映画化された作品が沢山収録されている。ジャック・レモンとウォルター・マッソーのコンビが主演した「おかしな二人」、ロバート・レッドフォード主演の「裸足で散歩」、マーシャ・メイスン主演の「第2章」、マシュー・ブロデリック主演の「ブルースが聞こえる」、マギー・スミスがアカデミー賞助演女優賞を受賞した「カリフォルニア・スイート」、などなど。
   (注釈1)


三谷幸喜が結成した劇団名は、ニール・サイモンが1972年に発表した「サンシャイン・ボーイズ」から拝借している。

23年間、ボードビル(軽喜劇)で人気を博した「ルイス&クラーク」のコンビが解散して8年が経った。

芸能マネージャーである姪のナンシー(サラ・ジェシカ・パーカー)がいつものようにバラエティ誌と食べ物の入った袋を持って、ニューヨークのウィリー・クラーク(ピーター・フォーク)のアパートに訪ねてくる。
彼女によると、ワーナー映画からの出演依頼で、入院している少年へのクリスマス・プレゼントに懐かしいネタをやってくれという。つまり、60年代の黄金コンビを復活させて欲しい。
やつと組むのは真っ平ご免だ、とウィリーが断る。
なおも食い下がる彼女に対し、ツバを飛ばして喋るし、指でつつくし、とんでもないやつだと言いつつ、冗談の間のとり方や喋り方は誰にも負けない、と才能だけは認める。

ニュージャージーの田舎からアル・ルイス(ウディ・アレン)がやって来る。
お互い、面倒を見てくれる姪のため、一緒に暮らす娘と孫のため、という名目で再会し、台本の読み合わせを始める。だが初めから喧嘩ごしで稽古にならない。
撮影の本番でウィリーが勝手に台詞を変える。アルが登場すると喧嘩をおっ始める。何度も撮り直しした挙句、ウィリーが心臓発作で倒れる。

ウィリーのアパートにアルが見舞いに来る。
みっともない姿を見られたくないウィリーは、安楽椅子にふんぞり返りアルを迎え撃つ。姪夫婦と一緒にロサンゼルスへ移住すると嬉しそうに言うと、娘夫婦と行くとアルも負けない。
けなし合いをやっているのか、漫才をやっているのか、訳分らないやりとりが続く。
アルが帰ると言い出す。すると子守唄代わりに喋ってくれとウィリーが離さない。
   (注釈2)


「役者は舞台の上ではすてきよ。でも実生活では、人類の敵だわ」

ニューヨークの安アパートに住むポーラ(マーシャ・メイスン)がそう叫びたくなるのは無理からぬことだ。
10歳になる娘のルーシー(クイン・カミングス)と買物から帰ると、同棲していた役者のトニーがイタリアへ行くと記した手紙を残して消えていたからだ。
楽しみにしていたカリフォリニア行きはパアになるし、33歳の肉体に鞭打ってダンサーに戻るしかない。

真夜中、びしょ濡れになったエリオット(リチャード・ドレイファス)が押しかけてくる。トニーに3ヶ月分の家賃を払ったから、アパートに住む権利があると主張する。
何だかんだ言ってポーラは彼を追い出す。だが近くの公衆電話ボックスから、すべて嘘じゃないかと突っ込まれる。仕方なく娘の部屋を明け渡す。
おまけに「欲望という名の電車」でマーロン・ブランドが言った台詞を聞かされ、部屋の主導権を握られる。

荷物を置いてまもなく、エリオットは全裸でギターを弾き出す。早朝からお香を焚きぷんぷん匂わせながら瞑想に耽る。
一晩中カッカし過ぎたポーラは、超寝不足のままオーディションを受けに行く。だがあっさり落とされる。買物から帰る途中でひったくりに合い、全財産を失う。エリオットに広い部屋と替わってもいいと申し出る。
口は悪いが楽しい食事ができるルーシーに免じて、エリオットが金を貸す。

オフ・ブロードウェイの巨匠と言われる狂った演出家のお陰で、エリオットは前代見聞の「リチャード3世」の稽古を演らされる。
翌日に初演を控えピリピリしているところに、ポーラが助けを求めてくる。ルーシーがチョコレート・サンデーを食べ過ぎて吐き気がすると言う。
彼は、ベッドに横になったルーシーのお腹を優しくさすり、子守唄のようにギターを奏でる。すっかりポーラはエリオットを見直す。が、いつの間にか眠っている。

母娘を招待した初演は予想通り酷評され、エリオットは一晩で職を失う。バイト先で喧嘩に巻き込まれ、左目に傷を負う。ポーラは呆れながら介抱する。二人は次第に魅かれ合う。
借り物で正装したエリオットがアパートの屋上にポーラを誘う。ささやかなディナーを楽しむ。
また同じ失敗の繰り返しだわと不安になった彼女が昨夜のことは忘れてと言う。日記につけたからダメだとエリオットが言う。

ハリウッドの一流監督から出演依頼がくる。エリオットは有頂天となり荷造りをする。また戻って来るなんて言葉を信じられないポーラが必死になって止める。が、出発する。
ところがその夜、どしゃ降りの中、電話ボックスからエリオットが電話をかけてくる。君の切符も用意した、と。
やっとポーラは「グッバイガール」におさらばする。
   (注釈3)



薄給の中学教師をするノラ・マクフィー(マーシャ・メイスン)は、朝から踏んだり蹴ったりである。修理したばかりの冷蔵庫が壊れる。先月カーステレオを盗まれたばかりのポンコツ車は相変わらず老人性喘息みたいな音を立てる。
15歳になる息子のマイケル(マシュー・ブロデリック)を学校の前で下ろしたあと、修理に出した靴を取りに店に入った隙に、あろうことか、車を盗まれる。ロックが壊れている上、キーをつけ放しにしたせいだ。
徹夜で採点した結果が39人中18人も落第点で、それだけでもショックなのに、その答案用紙まで盗まれる。生徒に謝って再テストをする。

だが悪いことばかりではない。盗難担当のブライアン・コステロ刑事(ドナルド・サザーランド)が学校まで送り迎えをしてくれる。谷底で車が発見されたことを気の毒に思い、払い受けた盗難オートバイを貸してくれ、運転まで教えてくれる。どうやら英文科卒の刑事は、英文学を教える未亡人教師に気があるらしい。

ところが真夜中12時過ぎ、不審な電話がかかってくる。年寄りの男の声で、いますぐ会いたいと言う。拳銃を持って出迎えると、9歳のとき蒸発した父親のマックス・デューガン(ジェイソン・ロバーズ)である。
おまけに、あと半年しか心臓がもたないと言う。余生を孫のマイケルと過ごしたいと言う。

いつものように母親より早く起きたマイケルは、台所でパンケーキを焼くパーカーと名乗る63歳の老人に出くわす。昨夜母親に頼み込んで間借りさせてもらったと言う。
驚いたことに学校から帰ると、家電店で売っているあらゆる種類の電化製品がところ狭しと家の中に置いてある。
パーカー氏によると、クイズ番組の賞品らしい。実はマックスが2つのトランクに詰め込んだ68万7千ドルの札束の中から買ったものだ。すべては可愛い孫のためだ。

マイケルの三振で所属する野球チームが負けたあと、今度はバイクが盗まれる。
落胆して家に歩いて帰ると、82年型ベンツのコンバーチブルがある。ノラの部屋にはブライアンとのデート用に高級ネックレスと香水がある。
マイケルのためにシカゴ・ホワイト・ソックスのコーチがバッティングの手ほどきに来る。
家が豪華リフォームされ、スター並みの室内装飾が施される。マイケルの部屋にはチャンピオン級の犬が鎮座する。
プレゼント攻撃に降参したノラは、最期までマックスの面倒を見ると約束する。

「東洋の哲学にいわく“心を通わせた友は、再びめぐり会う”」

パーカー氏は6年間服役した実の祖父だと母親に教えられたマイケルに、マックスが別れを言いに来る。ノラの環境が激変したことに不審を抱いたブライアンが彼の前科と金の出所を嗅ぎつけたからだ。

マイケルが逆転3ラン・ホームランをかっ飛ばした試合のあと、またしてもベンツが盗まれる。
目の前をマックスの乗った車が走り去る。
二人はいとおしく見送る。南米の砂浜でピニャ・コラーダを飲むマックスの姿が目に浮かぶ。
   (注釈4)



僕の部屋には、「ニール・サイモンのキャッシュ・マン」のポスターが飾ってある。
原題の「MAX DUGAN RETURNS」と比べるとニュアンスが違うタイトルは感心しないが、楽しいボディコピーが入っている。
今は亡き福岡の宝塚会館で、二本立ての併映。しかも東京以外の地方公開だったので、おそらく配給を担当した人もコピーを書いた人も忘れているにちがいない。

もう、良い事があってもいいのに!
 物価は倍にハネ上がり
 家庭はメチャクチャ
 ポンコツ・マイカーは走らない
 上司はつめたく
 家はオンボロ、雨もりだらけ
 わたし、八方ふさがり
 おちこみの極地―――
そんな時、キャッシュ・マン
 いつもニコニコ現金払いで
 私に夢を運んできた
 そして、キャッシュ・マン
 夜空を渡って旅に出た……


ジャンボ宝くじの季節にはうってつけのコピーだ。
僕なら「おちこみの極地」のあとに一言つけ加える――「酒びたりの毎日」

pina colada
pina colada / stefg74


ピニャ・コラーダ……ラム・ベースにココナッツ・ミルクとパイナップル・ジュースをシェイクさせたカクテル。村上春樹の小説「ダンス・ダンス・ダンス」で、頻繁に飲むシーンが出てくる。



注釈1、「ニール・サイモン戯曲集」T〜Y

     出版社:早川書房
     メディア:単行本

注釈2、「サンシャイン・ボーイズ/すてきな相棒」(監督:ジョン・アーマン)
        TV映画(アメリカ) 1995年製作 原題:The Sunshine Boys

        メーカー:フナイ・ビデオ
        メディア:VHS

(劇場未公開)
「ニール・サイモンのサンシャイン・ボーイズ」(監督:ハーバート・ロス)
    アメリカ映画 1975年製作 原題:The Sunshine Boys
    米アカデミー賞助演男優賞(ジョージ・バーンズ)受賞
    ゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)作品賞、
    (コメディ/ミュージカル部門)男優賞(ジョージ・バーンズ、ウォルター・マッソー)
    助演男優賞(リチャード・ベンジャミン)受賞


注釈3、「グッバイガール」(監督:ハーバート・ロス)
     アメリカ映画 1977年製作 原題:The Goodbye Girl
     米アカデミー賞主演男優賞受賞
     ゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)作品賞
     主演男優賞、主演女優賞(マーシャ・メイスン)、脚本賞受賞
     英アカデミー賞主演男優賞受賞

     メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
     メディア:DVD


注釈4、「ニール・サイモンのキャッシュ・マン」(監督:ハーバート・ロス)
     アメリカ映画 1983年製作 原題:Max Dugan Returns

     メーカー:ビクターエンタテインメント
     メディア:VHS


マンハッタン坂本のシネマワンダーランドが気にいった!
そんな方は、一票お願いします→ 人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ
posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:



×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。