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2013年03月18日

好きな物しか知らない。好きな人しか知らない。


                                   「前向きで行こう」

好きな物しか知らない。好きな人しか知らない。
introducing 「夏至物語」「キサラギ」「ストロベリーショートケイクス」

ある日、僕が書いたものを読んだ友人が、アメリカかぶれのカタログ文だと決めつけた揚句、こう言った――「お前は自分の好きなものしか知らない。知ってると言ってもたかが知れてる」
言いえて妙だ。過不足がない。

ぴあフィルム・フェスティバルを代表とする自主制作映画の上映会に、僕はほとんど参加したことがない。東京の大学時代に、月刊情報誌「ぴあ」より「シティ・ロード」を購読することが多かったせいではない。
90分前後のラジオ・ドラマを作っていた当時の僕は、中途半端に短い映像作品に興味が湧かなかったからだ。

そんな僕が1991年の土曜深夜にTBS系で生放送された「三宅裕二のえびぞり巨匠天国」(通称、エビ天)にハマった。自主制作映像を上映し審査する番組で、そこで流される3分程度の作品が長めのCFを見ているようで、技術的な未熟さや画質の悪さを気にせずに楽しめた。
作品を鑑賞した映像関連の6人の審査員が出品した素人監督を金銀銅で評価した。

特筆すべきは、ハイパーメディア・クリエーターの高城剛が審査員の常連だったことだ。
さらに特筆すべきは、世界のスーパースター、イチロー選手の奥様である福島弓子が新人局アナとしてアシスタントをしていた。

僕がもっとも好きな作品は、動画を貼りつけた墨岡雅聡監督の「前向きで行こう」である。
そしてカメラに映る度に、福島弓子大好き!と騒いでいた前川衛監督の「仮面ライダーV3〜華麗なるSay Good bye〜」である。
この作品の上映後、福島弓子は感動の涙を流した。

ハイホー、マンハッタン坂本です。



「仮面ライダーV3〜華麗なるSay Good bye〜」



「好きなものだけを作って生きていたい」

尊敬する映画監督である岩井俊二が、映画デビュー前の1991年から1994年にかけて発表した短編TVドラマ作品集の挨拶で、いきなりこう書いている。

周知の通り、彼の長編第一作「Love Letter」は「冬のソナタ」に多大な影響を与え、韓国でも日本でも大変人気となった。お陰で、彼が監督したTVドラマは再放送され、「フライド・ドラゴンフィッシュ」や「打ち上げ花火」が劇場で上映された。


「夏至物語」の彼女(白石美樹)は、とてもだらしない。すっぴんで肌着のまま過ごしている。でもおかっぱ頭でカワイイ。

8月1日、8時22分、気温31度。6畳一間の安アパートで、朝からぼりぼりキュウリをかじる。骨董品ものの古い扇風機に向かって、あーっと子供みたいに言う。
時折、窓の外を双眼鏡で覗く。本でいっぱいの男の部屋が見える。何故か三脚に乗ったVHSのビデオ・カメラが置いてある。

新聞の切り抜きに飽きたので、アイマスクをして早目のお昼寝をする。畳に転がったキュウリをまたかじる。おひるは、あぐらをかいてソーメンを頬張る。

午後1時48分、気温33度。便所も炊事場も共同で風呂場もないので、でかいタライに水をはり、肌着のままホースで水浴びをする。
キュウリの食べすぎで腹をこわし、和式便所にこもる。

夕方6時、目覚ましが鳴る。慌てて部屋のかたずけを始める。食い散らかしたソーメンやタライを炊事場へ運び、新聞紙の残骸やカメラを押し入れに押し込む。
手早く化粧をする。目を二重瞼にし、口紅をさす。

汗を拭きながら男(上田晋也)が帰ってくる。
よそ行きの服に着替えた彼女は、窓を開け、仕事から帰ったばかりのように風に髪をなびかせる。男から挨拶され、ニッコリ頭を下げる。
一日中、トオルのことを考えていたからだ。あざの数だけ愛されたい、なんて。
   (注釈1)


「やっぱりダメみたい。私もう疲れた。いろいろありがと。じゃあね」

マネージャーのケータイにそう伝言を残し、アイドル・如月(キサラギ)ミキが自宅マンションで焼身自殺をしてから一年が経った。
彼女のファン・サイトを管理する家元(小栗旬)は、彼女のファンの誰よりも彼女に詳しい。コレクションもパーフェクトだと自負している。ファンレターなんか200通も書いている。

そんな彼が高層ビルのペントハウスを借り切り、書き込み仲間を集め、一周忌追悼会を開く。
安男(塚地武雅)、スネーク(小出恵介)、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、いちご娘(香川照之)の順にやって来る。

全員が黒のネクタイに黒のスーツに着替えたところで、ミキちゃんはストーカーに殺された、と発起人であるオダ・ユージが言い出す。それを証拠づける資料を読んだことがない、と家元が反論する。彼は警視庁の職員だったのだ。

彼女のカチューシャを身につけたいちご娘がストーカー呼ばりされる。だが茶髪のモヒカン男が彼女の部屋に入るのを目撃した、といちご娘が反論する。かつてモヒカン頭だったスネークは、彼女と仲のいい雑貨屋の店員だったのだ。

ついで、やたら彼女のことに詳しいオダ・ユージが激痩せしたマネージャーだとバレる。
さらに、いちご娘が彼女が4歳のときに生き別れした父親だとバレる。さらに、安男が彼女と幼なじみで恋人のやっくんだと告白する
俺以外はみんな身内じゃん、と知識をひけらかしいい気になっていた家元はふて腐れる。

結局、ミキちゃんは事故死だったと全員が納得する。そして押し入れで発見された彼女は、どうやら家元のファンレターと心中したようだ。
機嫌を直した家元は、彼女の映像を見ながら仲間と一緒に親衛隊ダンスに興じる。

   (注釈2)



「神様っていると思う?」

デリバリー・ヘルスの電話番をする里子(池脇千鶴)は、人気ヘルス嬢の秋代(中村優子)から突然そう訊かれる。
彼女は、特に好きな男はいないが、いつも恋をしたいと思っている。ある日、変な形の小石を拾いアパートに持ち帰り、神棚をつくって飾ってみる。スペシャルな人のスペシャルになりたいなんてお願いする。

秋代は、毎朝棺桶の中で目覚める。一生住むつもりのマンションを手に入れるため、黒い下着に秘書風のスーツを着て仕事に出かける。そして客の前で裸になる。
同級生の菊地(安藤政信)とは呼び捨てし合う仲で、一緒に飲むときは、居酒屋勤めと称してラフでダサい格好をする。

デリヘルの店長からコクられた里子は、殺してくれと小石に手を合わせ、早々と仕事を辞める。中国人のラーメン屋で出前を始める。
菊地につき合っている恋人がいるのを承知で、彼の安アパートに上がりこんだ秋代は、酔った勢いでセックスに誘う。そして二度と仕事ができなくなる。有り金をはたき海辺にマンションを買う。
引っ越し祝いにイラストと小石を持って里子が訪ねてくる。本当に店長が急死したからだ。
愛する男の子供を身ごもった秋代にとって、もう神様は必要なかった。

イラストレーターの塔子は、自分だけの神様をイメージした本の表紙の注文を受ける。遅々として仕事が進まず、過食と嘔吐を繰り返す。イラスト紙の端になぐり書きをし、同居するちひろ(中越典子)の日記を盗み読みする。

平凡なOLであるちひろは、つき合っている永井(加瀬亮)が神様みたいかななんて言う。セックスのあと、彼の服をたたむ姿を結婚向きだねと言われる。その気になり、夕食の材料を買い込み彼のアパートを訪ねる。以来、電話に出てくれない。自分で自分の誕生日プレゼントを買う。

半年前に別れた男から結婚報告の葉書が届く。塔子は、ちひろの前で笑ってごまかす。本当はとても悲しかったのだ。
永井の会社の前で待ち伏せをしたちひろは、はっきり言葉にしてと彼に詰め寄る。別れようと言われ、故郷に帰る決心をする。

故郷の海岸で、二人してストロベリー・ショート・ケーキを食べる。
そのとき、出版社のOLが失くしたイラストが目に入る。泣きながら謝るんだったら何百枚でも描き直してやる!と嘔吐しながら叫んだオリジナルを見つける。大切な大切な神様のイラストが里子と秋代の足元にある。ラーメン屋に置き忘れてあったからだ。
    (注釈2)       



繰り返すけれど、僕に限らず、誰しも好きな物しか知らない。好きな人しか知らない。
しかも好きだと言っても、たかが知れている。詳しいと言っても、どの程度知っていることやら。知ったかぶりかもしれない。
男女の間にしても、お互い知らないことだらけだ。
ずーっと知らないっていう、幸福。ずーっと知らないふりしてるっていう、不幸。いろいろある。


スターダスト・レビューの歌で一番好きな曲は「トワイライト・アヴェニュー」である。
切ない恋を語る上で、竜真知子の歌詞は秀逸だと思う。  

  会わないで いられるよな恋なら
  半分も気楽に暮せるね
  友達と呼びあう仲がいつか
  知らぬまに それ以上のぞんでた

  お互いに恋人になれるよな
  ドラマティックな きめ手があれば
  今ごろは 優しい腕の中で
  黄昏を見つめていたはずね 

しかもア・カペラは、とろけるようなハーモニーだ。

「トワイライト・アヴェニュー」 歌:スターダスト・レビュー




注釈1、「イニシャル−岩井俊二初期作品集−」(全8話)

      TVドラマ 1991年〜1994年放映
      1993年日本映画監督協会新人賞受賞

      メーカー:ポニー・キャニオン
      メディア:DVD

注釈2、「キサラギ」(監督:佐藤祐市)
      日本映画 2007年製作
      ブルーリボン賞作品賞受賞

      メーカー:キング・レコード
      メディア:DVD

注釈3、「ストロベリーショートケイクス」(監督:矢崎仁司)
      日本映画 2006年製作

      メーカー:ハピネット・ピクチャーズ
      メディア:DVD




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posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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