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2013年01月14日

ドジョウは金魚の真似なんかできない。

IMGP0585
IMGP0585 / kkoriyama


新春・自選パロディ集 PARTV (野田内閣発足直後の記事)

ドジョウは金魚の真似なんかできない。
introducing 「トリュフォーの思春期」「運動靴と赤い金魚」

「やあ。こんにちは、シルヴィー」
「あんた、何変てこな踊りやってんの? ヒョットコみたいな顔して」
「今日はウェザーフィッシュにうってつけの日だからね」
「ウェザーフィッシュって?」
「ドジョウのことだよ」
どじょうすくいやってんの?」
「そうだよ。楽しいよ」
「バカみたい」
「そんなこと言っちゃいけないよ。大人になるとね、いろんなことやんなきゃなんないんだよ、お偉いさんのご機嫌とりにね。だから練習してんだ」
「シーモアったら。ねえ。いいから、あたしを金魚すくいに連れてって」
「そうおいでなすったか」
「どうするの、連れてってくれるの?」
「分かったよ。その方が楽しいからな、子供は」

ハイホー、マンハッタン坂本です。

「ねえ、あたしって、金魚すくいの天才でしょ?」
「確かにね。でも、上には上がいる」
「誰よ?」
「佐藤かなちゃん」
「あたし以外に女がいるの?」
「シルヴィー。君は愛菜ちゃんと同じ7歳だよ。マル・マル・モリ・モリに夢中になる歳だよ」
「どこにいるの?その女、『告白』しないと絶交するわよ」
「『虹の女神』に出てる。目が見えないのに、すいすいすくっちゃう」
「蒼井優ちゃんのことか。ただのお芝居じゃない」
「でもダンスは本当に上手だよ」
「じゃあ、この金魚全部あげる。だから手をひいて。お願い」
「飼わないの?」
「飼えるわけないじゃない。川に捨てられちゃうわよ。ママがまたヒステリー起こして」
「君は何? 6歳の『アメリ』プーランか?」


実際のところ、シルヴィーは半分嘘をついている。フランスの小さな都市ティエールの小学生だが、我が家に2匹の金魚を飼っている。名前はプリックとプロック。警察署長のパパには見分けがつかない。

日曜日でレストランへ出かけると言うので、シルヴィーは象のバックを引っ張り出してくる。金魚鉢の水で汚れを取るけど、汚いからよしなさいとママに言われる。パパも反対する。ママの黒いバックを貸してあげると言われても聞き入れない。
二人とも諦め、シルヴィーを置いて出かける。

パパが仕事で使う拡声器で、彼女は繰り返し外へ呼びかける――「おなかが、すいた!」
同じ団地に住む家族が数組ベランダから顔を出す。小さな娘を置き去りにするなんて恥知らずな親だ。協力してロープを張り、パンやチキンなどを詰めたバスケットをシルヴィーのところへ届ける。
彼女はまんまと朝食にありつく。
   (注釈1)



アリ・マンデガルは、9歳の小学生。妹の靴を修理してもらったあと、ジャガイモを買いに八百屋へ寄る。いつもツケなのでクズしか売ってもらえない。箱の中から選んでいる間、廃品回収の男が通りかかる。アリが帰ろうとすると、店先に置いたはずの黒いビニール袋がない。木箱の隙間に落としたと思い頭を突っ込むと、上に置かれた商品をぶちまける。店主が烈火の如く怒り、追い出される。

明日学校に行けないわと妹のザーラが涙を流す。絨毯たたむの手伝ってと言う母親の声を無視し、飛び出していく。靴の入った袋を見つけられず、もう来るなと店主に怒鳴られる。母親の手伝いをしなかったことで父親に叱られる。
病気の母親に知られたくないので、妹のノートで筆談する。僕の靴を履けと書き、新しい鉛筆を差し出し決着をつける。

イスラム教の決まりで、女子は午前、男子は午後に授業がある。
学校の門を出た途端、ザーラが脱兎の如く走り出す。人目のつかないところでスリッパを履いたアリが待つ。妹が脱いだ靴に履き替え、突っ走る。でも遅刻する。
そんな汚い靴恥ずかしいとザーラが言うので、靴を洗う。大きなシャボン玉ができる。妹の笑顔がカワイイ。二人でいっぱい飛ばす。

テストの答案用紙を早めに出しザーラが急ぐ。ブカブカなので足から脱げて溝に落とす。運動靴が木の葉のように流れていく。アリはまたまた遅刻し、先生に叱られる。
百点満点をとったご褒美に、アリはノック式の金色のボールペンをもらう。それを妹にプレゼントする。
ザーラが自分の靴を履いた下級生の女子を見かける。二人で彼女の家へ行くと、中から盲目の父親が出てくる。何も言えず引き返す。

父親がこぐ自転車に乗って都会に出る。高速道路を突っ走ると、高層ビルが立ち並んでいる。自分の住んでるところとは別世界だ。高級住宅街に着き、片っ端からインターホンを押す。庭師なんかいらないと言われ続ける。年寄りと小学生だけの家で、父親が仕事にありつく。帰りの坂道で自転車のブレーキがきかなくなり、電柱に激突する。

4キロ・マラソンの賞品が運動靴だと知り、アリは担当の先生に涙ながらに頼み込む。テストをしてもらい出場が許される。3等になればもらえると言うと、妹がニッコリする。

「この靴やだ! お兄ちゃんのせいよ。父さんに言うわ」

懸命に走りながらザーラの声が頭をよぎる。毎日走っているお陰でトップ集団に残る。気づくと1等でゴールしている。先生が大喜びする。

ザーラの前で肩を落とすアリ。ボロボロになった運動靴を脱ぐ。足がまめだらけだ。アパートの中庭にある丸い水槽に座り、両足を水の中につける。
赤い金魚たちが珍しそうに集まってくる。
    (注釈2)



「ねえ、シルヴィー。君はどう思う? 新しい野田首相」
「何でフランス人のあたしに訊くのよ。しかも7歳よ」
「だって1976年当時だろ?」
「日本じゃチャリンコなんて言葉が流行り出した頃ね」
「もとは関東の方言らしいんだけど、深夜放送の何とかってパーソナリティがやたら口走ってた」
「違うわよ。『がんばれ!ロボコン』に出てくるおまわりさんよ」
「どっちでもいいけど、何か子供を大切にしてくれそう」
「どじょうすくいのおじさん?」
「ドジョウ総理だよ」
「子供と泥んこ遊び好きかも」
「汚染されてるかもしれない」
「あたしの国は原発依存率が高いからおいそれといかないけど、あんたの国は二重ひばくでしょ?」
被爆と被曝ね。ダブルパンチだ」
「何のんびり言っちゃって。フランスあてにしないでよ。失業率高いんだから」
「日本も貧富の差が激しくなった」
「フランス革命を見習うしかないわね」
「日本の金持ちって中産階級みたいなもんだからね。財産投げ出す覚悟で復興支援しないと、子供たち大きくなっても働き口がない」
「泥臭い仕事を残すべきよ。どじょうすくいみたいな」
「ローテクの灯を消すな!」




注釈1、「トリュフォーの思春期」(監督:フランソワ・トリュフォー)
      フランス映画 1976年製作 原題:L’Argent de Poche

      メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
      メディア:DVD



注釈2、「運動靴と赤い金魚」(監督:マジッド・マジディ)
      イラン映画 1997年製作 英題:Chidren of Heaven
      モントリオール世界映画祭グランプリ、観客賞、国際批評家連盟賞、国際カトリック協会賞受賞

      メーカー:角川エンタテインメント
      メディア:DVD






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posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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