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2014年02月17日

あれが最初で最後だった。

CB106274
CB106274 / Spirit-Fire


思い煩うことはない。人生は無意味なのだ。PARTV 

あれが最初で最後だった。
introducing 「フィールド・オブ・ドリームス」「存在の耐えられない軽さ」

若い頃は、何度でも好きなことをやりたい。
大好きな相手なら何度でもキスをしたい。大好きなチームなら何度でも観戦したい。大好きな場所なら何度でも行きたい。
でも人生ままならぬもので、あれが最初で最後だった、なんてこともある。

還暦が近くなると、好きでないことは避けたい。
いくつか思い浮かべると、医者がからむことが多い。人生も後半戦に入ると、どうしても医者の世話になる。やむを得ないことだ。
僕は一度も手術を受けたことがない。脳とか内臓の手術なんて死ぬほど怖い。
でも人生ままならぬもので、あれが最初で最期だった、なんてことになる。

ハイホー、マンハッタン坂本です。

ミネソタ州チゾムで父親のあとを継ぎ医者となったアーチー(バート・ランカスター)は、若い頃プロ野球選手で、メジャーでプレイしたことがある。入団3週目のシーズン最終日、8回裏で味方がリードしており、監督にライトを守るように言われたのだ。一度もボールが飛んでこないまま試合が終わり、マイナー落ちとなる。結局それが最初で最後だった。

1972年、傘を持って散歩をしている最中、タイム・スリップしてきたレイ・キンセラ(ケビン・コスナー)から呼び止められ、ムーンライト・グラハムかと訊かれる。彼は50年前の1イニングのことを知っていて、何でも叶うとしたらどんな望みが?と尋ねてくる。

「ピッチャーをにらみ、彼が投げる構えに入ったらウィンクする」

夢の叶う場所があるから来ないかと誘われるが、ドク・グラハムは断る。ブルーの帽子が好きな妻のアリシアが気をもんでいるからだ。

車でアイオワへ帰る途中、レイはヒッチハイクの若者を乗せる。若者は昼間仕事をしながら野球ができると胸を躍らせている。トウモロコシ畑をつぶして作ったレイの野球場に到着する。そこでは、八百長疑惑で球界を追放されたシューレス・ジョー・ジャクソン(レイ・リオッタ)らシカゴ・ホワイトソックスの8人や往年の名選手たちが練習をしている。
若者もゲームに混ぜてもらい、打席に立つ。ピッチャーにウィンクすると、顔目がけてボールが飛んでくる。

レイの娘カリン(ギャビー・ホフマン)がスタンドから落ちる。若者は境界線まで走る。ゆっくりとまたぐとドク・グラハムに戻る。真っ青になったカリンの背中をドクが叩く。口からホットドッグが出てくる。すぐ元気に遊び始めるよ、とドクはレイを安心させる。
それから選手たちに見送られながらトウモロコシ畑へと消える。

死亡記事を載せたチゾム・トリビューン紙はこう書いている――「貧しい子供たちもドク・グラハムがいたお陰で不自由することはなかった。知らぬ間にポケットに眼鏡やミルクと一緒に野球のチケットが入っていた」
   (注釈1)
音楽:ジェームズ・ホーナー



プラハに住むトマシュ(ダニエル・デイ・ルイス)は決して女の家に泊まらない。自分の家に女が来ても不眠症だと言って帰らせる。彼の最大の理解者である画家のサビーナ(レナ・オリン)のスタジオですら泊まらない。

1968年、優秀な脳外科医である彼は、出張手術で田舎町を訪れる。仕事を終えたあと散策する。思い切りよくプールに飛び込んだ女のあとを追い、パブのカウンターにつく。本を開いてコニャックを注文すると、ここで読書する人なんかいないと女が言う。6時で仕事がひけると言うので、読書をしながらベンチで待つ。女はそこでいつも「アンナ・カレーニナ」を読んでいるらしい。

突然アパートのドアがノックされ、開くとテレーザ(ジュリエット・ビノシュ)がいる。汽車の中で風邪をひいたと言うので、彼女の目をチェックする。背中に耳を当て舌を見ているうちに、服を脱がせる。そのまま激しく愛し合う。朝ベッドで目を覚ますと、眠っている彼女に左手を握られている。

テレーザが美しい写真を撮るので、トマシュは仕事を世話してくれとサビーナに頼み込む。彼女はスタジオでマン・レイやリー・ミラーの写真をテレーザに見せる。彼女の目が輝く。
彼女が撮った写真が新聞に載った日、仲間たちがダンスホールで祝福する。同僚と踊る彼女の姿を見て、トマシュは軽い嫉妬をおぼえる。初めての経験だ。それをテレーザに見透かされ、結婚する羽目になる。
だが相変わらず情事をやめない彼に対し、ほかの女の所へ連れてって、と彼女が迫る。

ソ連率いるワルシャワ条約機構軍がプラハに進攻してくる。抵抗するチェコ人を武力制圧する光景をテレーザが写真に撮りまくる。ネガを外国人に渡したことがバレる。二人は車で国境を越える。いち早くジュネーブへ逃げたサビーネのもとへ行く。
だがそこでもトマシュの性癖は変わらない。

「人生は私にはとても重いのに、あなたにはごく軽いのね」

そう書き置きして彼女が弱い国へ戻る。トマシュも彼女のあとを追う。
自分の罪を恥じて両目をえぐり出したオイディプス王にも劣ると共産主義者を批判した論文を書いたトマシュは、その撤回声明にサインせず、病院を追われる。もぐりの診療もできなくなり、窓拭きに身を落とす。
だがそれでもトマシュの性癖は変わらない。

あなたのようになりたい。無神経で、たくましく、したたかに、とベッドの中でテレーザが言い放ち、パブで知り合った技師と浮気をする。だが自責の念にかられプラハを出たいと言い出す。

トマシュの患者だった農夫の家に二人は厄介になる。畑仕事や牧畜を手伝う。平穏な田舎暮らしは初めてだ。結婚のときから飼っていた犬を安楽死させただけだ。
仲間たちと踊りに出かけた酒場で、二人だけで泊まる。
帰りの車の中で、トマシュは初めて幸せを口にする。それが最初で最期だった。
   (注釈2)
音楽:レオシュ・ヤナーチェク



この世に「夢の叶う場所」があるとすれば、たとえ「エンド・オブ・ザ・ワールド」であっても行ってみたいと思う。一度で十分だ。
そしてそこで僕は、自分が思い描く理想の映画を作ってみたい。もちろん最初で最後の映画で構わない。
あるいは、「フィールド・オブ・ドリームス」に出てくる作家のモデルとなったJ・D・サリンジャーのように、珠玉の短編小説を書き上げたい。
あるいは、「存在の耐えられない軽さ」のように「一生の最後におしゃべりをしたいのは君だ」と言いたくなるような女性と過ごしたい。
なんちゃってね。


1994年、バート・ランカスターは80歳で亡くなった。
彼にとって「フィールド・オブ・ドリームス」は、劇場用映画の最後の出演作品となった。

「エンド・オブ・ザ・ワールド」(歌:スキーター・デイビス)





注釈1、「フィールド・オブ・ドリームス」(監督、脚本:フィル・アルデン・ロビンソン)
      アメリカ映画 1989年製作 原題:Field of Dreams
      原作:P・W・キンセラ
      日本アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞
     
      メーカー:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
      メディア:DVD


注釈2、「存在の耐えられない軽さ」(監督:フィリップ・カウフマン)
      アメリカ映画 1987年製作 原題:The Unbearable Lightness of Being
      原作:ミラン・クンデラ
      音楽:レオシュ・ヤナーチェク
      英アカデミー賞脚色賞受賞     
     
      メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
      メディア:DVD

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posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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