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2015年01月11日

聖人は挫折しない。

Mother-Teresa-collage
Mother-Teresa-collage / Peta-de-Aztlan


<FB参加記念>アーカイブ・熊本ネタ 人気ナンバー3  (初公開)2012・1・16

聖人は挫折しない。
introducing 「ベン・ハー」「ブラザー・サン シスター・ムーン」

半世紀前、一度だけ養護老人ホームへ慰問に行ったことがある。黒髪幼愛園の園児だった僕は、そのとき下手くそなダンスを披露した。今思えば歌の方がマシだった。僕の叔父さんのヒット曲ですと言って「上を向いて歩こう」を歌えばよかった。
今でもその老人ホームは健在だが、かつてハンセン病救療院だった。

明治26年(1893年)4月3日、第五高等学校の教授たちに誘われて本妙寺へ出かけた英国人宣教師ハンナ・リデル女史は、桜並木の下で初めてハンセン病者を見る。
これらの病者に対し政府が何も支援しない実情を知り、彼女は私財を投じ、明治28年11月に「回春病院」(Resurection of Hope)を創設する。
明治40年に「らい予防法」が発布されたのも、彼女の提言のお陰である――「日本が駆逐艦一隻の費用を転用すれば、この国のハンセン病問題は解決する」

彼女の姪であるエダ・ハンナ・ライト女史は、日本各地で伝道活動をしていたが、病身のリデルを助けるため熊本に移り住む。76歳で叔母が亡くなったあと、病院長として献身的に救護活動を続ける。
戦時中、日英関係が悪化しスパイ嫌疑を受けながら活動するも、ついに病院を解散させられる。賛美歌を合唱する患者たちを涙ながらに見送る。
戦後、亡命先のオーストラリアから戻った彼女は、80歳の誕生日を目前に死期を感じ、ラジオでメッセージを送る――「全国の療養所の皆さん、神様の良い子供となって下さい」

1979年にノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサ(Blessed Mother Teresa of Calcutta)も、ハンセン病者のために「平和の村」(Town of Peace)を設立している。

ハイホー、マンハッタン坂本です。


紀元26年、エルサレムきっての豪族の息子ジュダ・ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)が初めて救世主と出会ったのは、ローマ帝国に対する謀反のかどで熱砂の中を軍船まで連行されるときだった。
彼は決して謀反を企てたわけではない。ユダヤ新総督がハー家の屋敷の前を通ったとき、たまたま屋上の互が落ちただけだ。彼と幼なじみの司令官のメッサラ(スティーブン・ボイド)は事故だと知っていたが、反抗的な連中への見せしめのため親友を奴隷にし、ジュダの母ミリアムと妹のティルザを投獄する。

ジュダが飲み水を与えられず死にかけていると、優しく水をかけてくれ口元に手桶を差し出す者がいる。夢中で水を飲み干し見上げると、苦痛が消え、生きる気力が沸いてくる。
ローマ兵が気づき男を制止しようとするが、安らかな顔に射すくめられる。

3年後、自由の身となってユダヤに戻る途中、ジュダは賢者バルタザールと知り合う。彼はナザレのお人のもとへ戻りたいと言う。星の導きでベツレヘムへ行ったとき、馬小屋で生まれた赤子が成長し神の御業を始められる頃だという。

荒れ果てた我が家に戻ると、かつて恋心を抱いた隊商の娘エスター(ハイヤ・ハラリート)がいる。母と妹の安否を訊ねると、すでに亡くなったという。
メッサラへの復讐を決意したジュダは、アラブ人族長イルデリム(ヒュー・グリフィス)と組み大戦車レースに参加する。白馬4頭でローマの黒馬に挑み、壮絶なバトルを制する。戦車から放り出されたメッサラが重傷を負う。
死の間際、母も妹も「らい病の谷」で生きていると知らされる。

食糧を持って現れたエスターに二人の対面を拒まれる。長い地下牢生活で醜く変わり果てた姿をジュダに見られたくないからだ。
絶望に打ちひしがれたジュダがエルサレムへ帰る途中、丘の頂きを目差す多くの人々を目にする。賢人バルタザールに誘われるが、生きていることを嘆く。

「憐れみ深い人は幸いだ。彼らは憐れみを受けよう」

山上の垂訓に感銘を受けたエスターに説得され、死の谷から二人を連れ出す。
だが街はもぬけの殻である。

総督に裁かれたイエスが十字架を背負う。民衆が見守る中、ゴルゴタの丘へ向かう。
重さに耐えきれず十字架の下敷きとなる。ジュダが手桶を持って駆け寄る。間近で顔を見ると、砂漠で水を恵んでくれた人だ。

イエスが十字架に磔(はりつけ)になる。世界中の苦痛を背負ったまま逝く。
黒い雲が空を覆い、雷が鳴り響き、浄化の雨が降る。
激痛と共に母ミリアムと妹ティルザの顔から病の痕跡がなくなる。
イエスの最期を見送ったジュダの心から、憎しみが消える。
   (注釈1)
Sermon-On-The-Mount-Carl-Heinrich-Bloch-19th_C
Sermon-On-The-Mount-Carl-Heinrich-Bloch-19th_C / ideacreamanuelaPps



林の中をひた走る金髪の娘が目に入る。白馬に乗ったフランチェスコ・ベルナルドーネ(グラハム・フォークナー)が追いかける。娘が逃げるように走り去る。馬から降りて川のほとりまでついて行く。抱えていたパンの袋を置き、兄弟の皆さん!と彼女が呼びかける。らい病者たちが集まってくる。
恐怖におののくフランチェスコが病の床でうなされている。

神聖ローマ帝国の治世。ペルージャとの戦いから故郷のアッシジに戻った彼は、生死の狭間を彷徨う。小鳥や蝶や草花が彼の心を癒してくれるが、父親に雇われた職人たちはうつろで、彼を悲しませる。
野原の真ん中に朽ち果てた教会があり、その中に真のキリスト像があることに気づく。

物は心の重荷ですと言ってフランチェスコは、家にある服や金品を貧しい人々に投げ与える。怒った父親が司教のもとに連れて行く。身につけた服をすべて脱ぎ捨て、両親へ返す。
私はキリストのように貧者になりたいと言って、街を出て行く。

生きた石をひとつひとつ積み上げていき、サン・ダミアノ教会を修復する。十字軍の英雄ベルナルドが加勢をする。地主の息子たちが次々と追従する。

 神よ どうか私をあなたの平和の道具に
 憎しみの畑に 愛の種を  よこしまな土に 許しの苗を
 疑いの野に 信仰の芽を  与えることで与えられん
 許すことで許される     死ぬことでよみがえる
 
 
パンを施してくれた村人たちに向かって、「平和の祈り」を仲間たちと合唱する。

フランチェスコを慕っていた金髪の娘クララ(ジュディ・ボーカー)が修道女となる。マザー・テレサのようだ。
教会が完成し、村人の多くが集まってくる。自然の恵みを神に感謝し合唱をする。
醜くただれた姿を恐れることなく、らい病者たちの世話をする。

だが教会に火の手が上がる。信者を奪われたアッシジの司教の仕業だ。
見守るクララの前で、フランチェスコは悲嘆し自分の行いを咎める。教えを乞うためにローマへ赴く決心をする。

1209年、友人パオロの計らいにより、ローマ教皇イノケンティウス3世(アレック・ギネス)に謁見する。臆することなく思いの丈を訴える――「神と富に共に仕えることはできない」
仲間と共につまみ出されるが、神の啓示を受けた教皇に呼び戻される。

黄金色の僧衣を脱いだ教皇が階段を下りてくる。貧しくも主の説かれた道を歩むフランチェスコに対し、我が身を恥じる。ボロをまとった彼の手に聖痕を発見し、足元に口づけをする。
フランチェスコ修道会が誕生した瞬間だった。
   (注釈3)
音楽:ドノバン



少しカッコつけて言えば、僕は人間主義者である。天国も地獄も存在しないと信じているからだ。
だからと言って、天国の存在を信じている人たちにケチをつけるつもりはない。
国葬だろうと家族葬だろうと芸能人のお別れ会だろうと、代表で弔辞を述べる人があたかも故人が天国にいるかのように語りかけるとき、僕は聞かないふりをする。

しかしながら、この世で聖人がなされた行いに対し、敬意を表したいと思う。
頭が下がるばかりである。仕舞いには土下座しそうになる。
何一つ真似ができそうにない。

そんな僕でも、百八つの煩悩を一つでも多く絶ち切ろうと思っている。
除夜の鐘をつくなんて極めて日本的な仏教の風習に頼るつもりはない。前向きな挑戦だ。
でも挫折の連続である。




注釈1、リデル・ライト両女史記念館
    http://www.riddell-wright.com/kinenkan/kinenkan.html
    リデル・ライト.jpg

関連図書:「ハンナ・リデルと回春病院」(著者:猪飼隆明)
初版:2005年

出版社:熊本出版文化会館
メディア:単行本

注釈2、「ベン・ハー キリストの物語」(監督:ウィリアム・ワイラー)
     アメリカ映画 1959年製作 原題:Ben-Hur a Tale of the Christ
     原作:ルー・ウォレス 音楽:ミクロス・ローザ
     米アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞(ヒュー・グリフィス)、撮影賞、映画音楽賞
              録音賞、衣装デザイン賞、映画編集賞、美術監督賞、特殊効果賞受賞
     ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞、監督賞、助演男優賞(スティーブン・ボイド)受賞
     英アカデミー賞作品賞受賞

     メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
     メディア:Blu―ray


注釈3、「ブラザー・サン シスター・ムーン」(監督:フランコ・ゼフィレッリ)
      イタリア・イギリス映画 1972年製作 原題:Brother Sun,Sister Moon
      原案:聖フランチェスコの小さな花
      歌:ドノバン

      メーカー:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
      メディア:DVD

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posted by マンハッタン坂本 at 16:00 | Comment(1) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久しぶりにある程度じっくり拝見しました。また携帯にメールしますが、差し当たり、最後の動画は英語でいいんで字幕があれば有難かったが・・・まあ、仕方ないですね!! 今回はいつもと違った、倫理・宗教観に傾倒してて、たまにはこういうのもむしろあっていいと思いますが、一元さんや回数の浅いリピーターさんがどう捉えるか?
Posted by 光益 明 at 2012年01月17日 16:32
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