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2014年07月07日

パイナップル・ピザが食べたかった。

Grand Slam Pizza
Grand Slam Pizza / Puck777


腹が減っても、映画は観れる。 PARTT

パイナップル・ピザが食べたかった。
introducing 「恋する惑星」「12人の優しい日本人」

アメリカ風ピザと言えば、シェーキーズである。80年代から90年代にかけてよく食べたものだ。
もっとも、宅配ピザ・チェーン店が乱立する今と違って、当時は手近にシェーキーズしかなかった。
ランチ・バイキングのお陰で、いろんなメニューを腹いっぱい食べられた。ほとんど好き嫌いがなかった気がする。
映画にしろポップスにしろ小説にしろ、アメリカ製を好む癖があったからではない。

そんな僕がある日、無性にベーコンとパイナップルのピザが食べたかった。
人気メニューなので当然バイキングに出ると楽しみにしていたが、とうとう出なかった。あるいは、ピザが焼きあがる度に食欲旺盛な若者たちがたかっていたので、チャンスを逃したのかもしれない。
もちろん単品で注文できる。だが何だか損をしたような気分になる。

ハイホー、マンハッタン坂本です。


1994年。エイプリル・フールに警官223号(金城武)が失恋する。その日から5月1日が賞味期限のパイナップルの缶詰を買い続ける。パイナップルはメイの好物だし、5月1日は自分の誕生日だからだ。
30缶買ってもメイが戻らなければ、恋も期限切れだ。

30缶全部食べ尽くしたあと、腹ごなしにバーへ行く。
メイを忘れたい。今度入ってきた女を好きになると決心すると、金髪のサングラス女(ブリジット・リン)がカウンターにつく。

「パイナップルは好き?」

広東語で話しかけても通じない。日本語や英語も試してみる。上手な北京語ね、とやっと返される。
相手にしてくれないので、あれこれ喋る。失恋のときはジョギングして涙を蒸発させる、2時間前に25歳になった、などなど。

看板まで飲んで、どこかで休みたいと言うので、ホテルへ行く。女は死んだように寝てしまう。
明け方退散する前に、女の靴を脱がし汚れをとってやる。美人にはきれいな靴が似合うのだ。

雨の中をジョギングしたあと、ポケベルが鳴る。1万年愛すとパスワードを言うと、「ありがとう」と伝言が返ってくる。忘れがたい女だ。“記憶の缶詰”に期限がないといい、と思う。
   (注釈1)

主題歌「夢中人」(歌:フェイ・ウォン)



被告は21歳のシングルマザー。その夜、別れた夫から電話があり、ピザの出前を頼んだあと、5歳になる息子を残して待ち合わせの居酒屋へ行く。
したたか酔った元夫が復縁を迫り、逃げるように店を出るがしつこく追いかけてくる。人気のないバイパスで追いつかれる。言い争いをするうちに、走ってきた長距離トラックに元夫がはねられる。
彼女は、殺人容疑で裁判にかけられ、12人の陪審員の評決に委ねられる。

全員一致であっさり無罪になる。だが話し合いを望む陪審員2号(相島一之)が有罪を主張する。
一人一人が無罪の理由を発表するうちに、少しずつ有罪に翻す者が増え、ついに無罪を主張する陪審員が一人だけとなる。

被告に殺意があったかどうかが争点となる。
被告は早く家へ帰って、5歳の息子と一緒にピザを食べるつもりではなかったか。大きさを確認するために彼女が注文したピザを取り寄せることになる。
アンチョビにパイナップルはどうでしょう。シーフードでまとめてみたら、と言って喫茶店のマスターである陪審員3号(上田耕一)が陪審員6号のリクエストを却下し注文を出す。すると守衛が怒鳴り込んでくる。

「事件に関する証拠品を見るのは、我々の権利だ」

自称弁護士の陪審員11号(豊川悦司)が命令する。

被告が元夫に向って「死んじゃえー!」と叫んだのは目撃者の聞き違いで、「ジンジャエール!」ではなかったか。一瞬顔にライトを浴びた元夫は、そのままトラックに飛び込んだのではないか。
被告に殺意がなかったと思われる証拠が次々と浮上してくる。
やがて「でかい うまい 早い」が取り柄のドミソ・ピザが届き、その大きさが確認される。

再び有罪を主張する者が陪審員2号だけとなる。
ピザを机に叩きつけ、被告の女を激しく糾弾する2号に向って、陪審員11号が言い放つ――「ここで裁かれてるのは被告で、あなたの奥さんじゃない」
   (注釈2)



いろんなピザを食べてみたけれど、一番好きなアメリカ風ピザはと訊かれれば、シェーキーズと答える。理由は、お袋がつくってくれた味噌汁と同じだから。

いろんな日本映画を鑑賞したけれど、一番笑える裁判映画はと訊かれれば、「12人の優しい日本人」と答える。理由は、初めて観た三谷幸喜作品だから。
加うるに、シリアスな「十二人の怒れる男」を下敷きにしておきながら、白黒つけるのが苦手な日本人が陪審員をやると、かくも滑稽になることを証明してくれたからだ。

いろんな香港映画を鑑賞したけれど、一番スタイリッシュな恋愛映画はと訊かれれば、「恋する惑星」と答える。理由は、初めて観たウォン・カーウァイ作品だから。
加うるに、撮影監督クリストファー・ドイルのセンスが光る映像、その映像にぴったりハマった音楽、そしてクールなモノローグにしびれたからだ。


蛇足ながら、パイナップルが嫌いな金城武は、撮影のときパイナップルの形に切った桃を食べたという。
従ってどちらの映画とも、実際にパイナップルを食べていない。




注釈1、「恋する惑星」(監督、脚本:ウォン・カーウァイ)
      香港映画 1994年製作 原題:重慶森林 Chungking Express
      香港電影金像奨・作品賞、監督賞、主演男優賞(トニー・レオン)受賞

      メーカー:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
      メディア:DVD

注釈2、「12人の優しい日本人」(監督:中原俊)
      日本映画 1991年製作 英題:The Gentle Twelve
      脚本:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ
      キネマ旬報ベストテン日本映画脚本賞受賞

      メーカー:オデッサ・エンタテインメント
      メディア:DVD

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posted by マンハッタン坂本 at 00:00 | Comment(0) | 映画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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